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2008-02-06 00:00
(連載)洞爺湖サミットへ向けた日本の国際環境協力(2)
廣野良吉
成蹊大学名誉教授
GHG削減を中心とする地球温暖化対策について、世界で指導的立場を維持することを表明しているEUは、2007年のEU環境大臣会議で既に、2020年までに1990年比20%の削減目標を、さらに2050年までに同年比70-80%まで高めることを自らに課している。昨年3月のEU首脳会議でも、EU加盟27カ国全体の排出量を2020年までに20%(1990年比)削減することを決めていたが、本年1月23日の欧州委員会では、GHG削減の一層の強化策を打ち出した。この強化策は、EUが既に2003年から実施している排出権取引市場において、(1)主要企業に割り当てられる排出上限枠を2020年までに、2005年の排出実績に対比して21%引き下げ、(2)排出権取引の対象となる業種を航空輸送、アルミ製造、石油化学産業等比較的排出が大きい業種にまで拡大し、(3)従来無償で企業に割り当てていた排出枠を段階的に競争入札制度に切り替える、ことを決定したものである。こうして、欧州委員会は加盟各国企業に対してGHG排出量の削減を迫っている。また、昨年秋にはノルウェー、米国のカリフォルニア、ニューヨーク等一部の州、カナダ、ニュージーランドとの排出権取引共同市場の構築に向けた協力協定を結んでいる。
地球温暖化問題への国際社会のその他の対応については、本欄2007年10月4日付け投稿(393号)および同年10月5日付け投稿(395号)でも言及したが、ポスト京都の今後の道筋を作成する上では、少なくとも昨年6月に開催されたハイリゲンダムG8での、2050年までにGHG世界総排出量半減という合意を出発点として、GHG大規模排出途上国を含む産業・部門別の削減目標(例えば、国際的制裁を伴う最低義務的目標と国際的奨励策を伴う自発的目標の抱き合わせ等)の設定等について、今年7月の洞爺湖サミットで基本的合意をみることが必要となる。
さらにその後、今年末のポーランドでのCOP14における基本的骨組みに関するより詳細な議論を経て、来年末のCOP15までに新しい国際的枠組みを合意できれば、地球温暖化防止にむけて国際社会は大きな前進を示したといえるであろう。もちろん、この2013年以降の国際的枠組みでは、単にGHGの中期的(10年~20年間)・長期的(20年~40年間)な世界的削減目標のみならず、各参加国が国別にぞれぞれ、先進国と大規模GHG排出国は義務的に、一人当たり2トン以上のGHGを排出しているような途上国は自発的に、5年毎の短期的な削減目標を設定することも必要となる。さらに、それぞれの目標の着実な実施を監視し、なおかつ対途上国技術・資金的支援のための国際的制度的仕組みの導入についても合意することは最低限不可欠である。(つづく)
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