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2008-01-19 00:00
注目される台湾総統選挙:言葉と本音を区別せよ
河東哲夫
Japan-World Trends代表
今年は選挙がらみのイベントが多い年だ。アメリカだけではない。あまりに重要な選挙が多すぎて、それで世界情勢が不安定になりかねない、と前から言われていた2008年が、ついにやってきた。来て見ると、選挙よりサブプライム問題の方が心配なのだが。東アジア関係で言うと、3月の台湾総統選挙はマグニチュードが大きい。台湾についてはいろいろな思惑が台湾の内外で交錯し、皆プロパガンダを弄しているので、彼らが言うことを真に受けすぎると踊らされる。言葉と本音をしっかり区別しなければならない。例えば陳水扁総統は台湾の独立を明日にでも宣言するだろうとか、中国は少しでも隙があれば台湾を武力で併合するだろうとか、両岸関係が荒れると日本の「シーレーン」が危機に陥るとか、様々に言われていることの、一体どこまでが本当なのか。
1月12日の立法院選挙で与党の民進党は大敗し、陳水扁氏は党主席の地位を辞した。これで、大統領選と同時に、台湾の名で国連に加盟することの是非について国民投票をやりたい、としていた彼の意向もボツだろう。それだけ中国本土との摩擦要因も減ったわけだ。今優勢な国民党は05年4月、連戦主席が大陸を訪問して胡錦涛総書記と会談した時のコミュニケで既に、中国と「和平協定」を結んでもいいとし、最近訪日した馬英九・国民党総統候補も同様の趣旨を述べている。おそらくこれを受けて、昨年10月の党大会で胡錦涛総書記は、台湾との間で「平和の合意」を結んでもいいと述べた。「協定」という言葉を使うかどうかはともかく、両者はステータス・クォ(台湾の独立でも併合でもない現状)の維持が双方の利益に資することを認めたのだ。
国民党は本土からやってきたのだが、今となっては以前から台湾に住んでいる「本省人」の支持なしには政権に就けず、維持もできまい。本省人の大半が今の「独立でも併合でもない現状」を維持するしかなく、またそれが最もいい選択なのだと考えているのだから、馬英九氏が総統に選ばれても、統一への旗を性急に振ることはあるまい。そして、台湾をめぐって情勢が緊張化することなく現状が維持されることは、日本にとっても一番良いことなのである。同じことは米国についても言える。日本だけが台湾危機の可能性を過大評価する必要はない。日本は台湾情勢の基調を設定することはできない。ステータス・クォの維持が関係者全員の暗黙の合意なら、それに乗って自分の利益を実現していくのがいいと思う。
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