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2008-01-14 00:00
(連載)中国、韓国、インドの環境産業と日本の役割(5)
廣野良吉
成蹊大学名誉教授
世界の環境産業市場は、1991―2000年に年率5%で成長し、4,522億米ドルに達した。その中で、アジア諸国の環境産業市場の発展は10%の成長を示し、特に顕著であった。アジア諸国の経済発展、工業化、都市化が現在の速度で進展すると、エネルギー需要が急速に拡大し、日中の大気汚染、浮遊微粒子、二酸化硫黄が急増するのみならず、森林破壊、砂漠化、地球温暖化による自然災害の増大の危険は顕著となり、さらに、飲み水需要の拡大や、産業有害廃棄物・家庭ゴミの急増に対処するための環境対策の拡充により、環境産業の急速な成長は避けられないであろう。今後は、環境破壊の修復ではなくて、環境破壊による経済的・人的損失を未然・事前に防止する環境技術の革新、環境保全体制の国内・国際的な構築が急務である。
日本政府の環境白書等によれば、日本、中国、韓国の環境サービス産業の規模は、1997年に日本で100億米ドル、中国で2.4億米ドル、韓国で30億米ドルであったものが、2010年には、それぞれ1,500億米ドル、80億米ドル、130億米ドルへと成長し、環境資源利用産業についても同期間に、日本で800億米ドルから1,600億米ドルへ、中国で36億米ドルから180億米ドルへ、韓国で25億米ドルから110億米ドルへとそれぞれ拡大を予測されている。さらに、環境装置市場についても、同期間に日本、中国、韓国で、それぞれ、140億米ドルから200億米ドルへ、25億米ドルから100億米ドルへ、20億米ドルから60億米ドルへと拡大し、環境産業全体としては、1997-2010年の期間に日本、中国、韓国でそれぞれ、1,200億米ドルから3,800億米ドルへ、65億米ドルから300億米ドルへ、90億米ドルから300億米ドル市場へと増大し、換言すれば、日本では3.2倍、中国では4.5倍、韓国では3.3倍の急成長をみると予測されている。
アジア地域における環境産業市場は、今後も成長し続けることは疑いない。とくに、昨年以来の原油・天然ガス価格の急上昇の中で、先見性のある国内企業・多国籍企業は、天然資源の効率的利用によって、環境保全と採算を両立させようとしている。すなわち、商品のリサイクルを奨励するとともに、鉱物、水、木材のような天然資源の寿命をこれまでの何倍にもなるよう追求している。また、消費者としても、排気ガス・ゼロの自動車、ゴミを出さない工場、紙無しオフィス、3R(再利用・削減・リサイクル)、分解性プラスチック製品などを工夫している企業、社会的にも環境的にも信頼される企業を選好する傾向が強くなるであろう。世界的な太陽光発電・風力発電・地熱発電の供給量は、現在2M toeを超え、世界消費電力の11.5%をカバーしているが、この数値は2020年までには、全体の20%を占めるまでになると予想されている。(つづく)
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