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2008-01-12 00:00
(連載)中国、韓国、インドの環境産業と日本の役割(4)
廣野良吉
成蹊大学名誉教授
アジア諸国においても、環境汚染の進展と国内外のNGO及びマスメディアを通じた市民社会の抗議の急増を受けて、汚染防止法の導入や環境安全基準を制定する法的措置が、1970年代の日本を皮切りに、1980年代には韓国、シンガポール、マレーシア、1990年代にはタイ、フィリピン、インドネシア、中国でそれぞれとられたように、着実に全地域へ広がっていった。多くの国々において最初のうちは、国際競争力にマイナスの影響を与えるとして、民間部門がその厳しい環境法規や規制、及びその実施に対し執拗な反対と抵抗を示していた。しかし、政府がそのような規制を遅らせ、緩和し、結果的には、民間部門に対し各社の独自規制を行うことを認めるとともに、報告、情報公開規定を導入することにより、双方が歩み寄る形となった。しかし、これら環境規制・行政や法的措置の効果的実施は政治的意欲や人的・制度的・財政的能力の格差を反映して、各国でまちまちである。
中国、韓国、インドでも、環境汚染が深刻化する中、労働者や一般市民、消費者、社会に対する環境リスクのマイナスの影響を最少限に抑えるため、環境監察(モニター)ガイドラインを確立し、また、そのようなガイドラインが守られているかどうかを監察する行政措置が徐々に確立される様になってきた。さらに、汚染先進国では、汚染者及び規制当局に対する環境破壊訴訟に対応するため、地域、地方、及び国家レベルで司法制度を強化する法的、行政措置が取られた。また、環境悪化、モニタリング、データ収集及び分析に対応するため、地域、地方、及び国家レベルで人的資源と組織力を強化する法的、行政措置が導入され始めた。
途上国におけるこのような国内措置を加速するために、国際社会では、1970年代から諸々の国際会議が召集されて、今日まで多くの国際環境保全協定・プロトコールが制定され、さらにその遵守と効果を向上させることを目的に二国間・多国間環境協力が特に1990年代からは急速に拡大していった。 中国、韓国、インドの三国では、気候変動枠組条約、京都議定書、オゾン層保護協定、生物多様性条約がすべて批准されている。今後は、COP13でも議論されたように、地球温暖化防止のため、GHG排出量を2030年までに、2000年レベルの30%削減し、2050年までには50%以上削減するという目標に向かって、ポスト京都議定書の新しい国際的な枠組みに、途上国を含めたすべての国々が参加することが出来るかどうかが問われている。(つづく)
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