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2008-01-10 00:00
連載投稿(2)中国、韓国、インドの環境産業と日本の役割(2)
廣野良吉
成蹊大学名誉教授
中国、インドにおける環境悪化の最大の要因は、何と言っても、(1)人口増加と高水準の貧困と経済活動の急速な拡大に伴う農地、森林、水その他天然資源への継続的圧力、(2)貨幣経済の浸透と国際競争の激化に伴う化学肥料、農薬の大量散布、森林伐採、過度の放牧やダイナマイト・フィッシングなどによる濫獲、が主であるが、韓国を含めて、(3)急速な工業化と都市化による大気汚染、水質汚濁、土壌汚染と産業系有害廃棄物や家庭廃棄物による海洋、土壌、湖沼、河川の汚染、も大きく影響しており、さらに、(4)エネルギー・資源・廃棄物集約型ライフスタイルの先進工業国から途上国に至るまでの世界的広がり、も関係しているであろう。
過去20年前から今後15年間に至るまで途上国における人口増加は先進国よりも高いが、人口増加率そのものは途上国でも低下傾向にあり、特に中国、韓国での低下は一層顕著である。具体的には、1975-99年の途上国の人口年平均増加率が1.9%であったのに対して、中国、韓国、インドではそれぞれ、1.3%、1.1%、2.0%であったが、1999-2007年には、途上国平均1.4%に対して、中国が0.7%、韓国が0.5%、インド1.3%に過ぎなかった。その結果、人口増に由来する天然資源の枯渇は、途上国平均に比べるとこれらアジア3カ国では相対的に緩やかに進行していると考えられる。しかし、その反面、これら3カ国における工業化と経済成長の速度は他のいずれの地域よりも高く、その結果、工業化や高度成長に起因する環境悪化や、輸送、エネルギー産業、工業活動から来る環境汚染が顕著となっている。さらに注目すべきことは、家庭および第三次産業を発生源とする二酸化炭素排出量が、近年他のいかなる産業部門よりもその増加率が高いということである。これは先進国の状況に似ている現象である。
特に、これら3カ国の大都市における大気汚染物質の濃度は非常に高く、騒音、悪臭、廃棄物処理問題やその周辺の水質汚濁、土壌汚染も他の途上地域よりも深刻となりつつある。このような大都市を中心とした大気・水質・土壌汚染は、都市住民の健康に大きな負荷を与えている。主要環境リスクによる病気の負担(早死のために失われた生存年数)が、中国とインドでは、1990年代に水道と公衆衛生の悪化により、それぞれ、 4.5年、1.1年、マラリアにより、0年、0.5年、屋内空気汚染により9.5年、6年、都市の大気汚染により、5年、2年、農業産業廃棄物により、1.5年、1.0年となっている(ダグラスV.スミス、カジF.ジャラール『アジアの持続可能な開発』、アジア開発銀行"Key Indicators 2000"、国連開発計画『国別人間開発報告書』2002年版)。 (つづく)
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