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2007-12-22 00:00
連載投稿(2)東アジア共同体構築をめざす3つの成果が重要
石垣泰司
東海大学法科大学院非常勤教授
「ASEAN+3サミット」で出された「第二共同声明」も、これを仔細に読めば、1997年のアジア通貨危機への対応協力から生まれた「ASEAN+3」地域協力が、僅か10年という短期間に飛躍的に進展したことを確認している。すなわち、今後10年間にさらに一層強力に促進すべき旨決意を表明するとともに、大きな進展が期待されることを宣明している。また、詳細な内容の具体的協力の方途をも述べている。しかも、「ASEAN+3」協力が東アジア共同体構築に向けての「主要な手段」(main vehicle)である、とのこれまでの基本的位置付けからいささかの揺らぎも見せていない。
一方、「東アジア・サミット」については、発足当初「ASEAN+3サミット」に域外3国(豪州、NZ、インド)を加えただけで、同じテーマを話し合う重複フォーラムになりかねないとの懸念がもたれていたが、今回発表された文書を見る限り、これら3カ国が加わって始めて効果的な、広域の地域協力を話し合えるような協力テーマ(環境、エネルギー等)が取り上げられるようになっている。その存在意義は次第に明確化してきたように見受けられる。しかも、東アジア共同体構築に向けて「ASEAN+3」「東アジア・サミット」「APEC」等が相互補完的関係にある、との加盟国の認識が確認され、これが定着しつつあることは重要な点である。
以上を要するに、今回の一連の首脳会議については、つぎの3点が重要な成果であったと言えよう。 (1)東アジア共同体は依然非常に長期的目標であるが、東アジア地域において共同体形成に向けて最も真剣かつ具体的に取り組んでいるASEANにおいて、その憲章が署名され、どの程度の共同体を当面目標にしているかが明らかとなったことは重要である。ただし、現段階では、まだ如何なる形でも主権委譲を伴う共同体は想定されていない一方、人権機構の設立(憲章第14条)という形で、域内諸国内の人権問題に踏み込む用意があるとの方向性が示唆された。
(2)「ASEAN+3」および「東アジア」両サミットの補完関係(但し前者を基軸とするもの)が改めて確認された。
(3)これまでASEAN諸国からも強く要望されてきたが、具体的形で実現できなかった北東アジア3ヵ国(日中韓)間の協力推進について、今回始めて日中韓3国首脳会議が実施され、今後「ASEAN+3サミット」の機会にこだわらず、独自に開催を検討することが合意されたが、これは特に重要な成果であったといえよう。(終わり)
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