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2007-12-21 00:00
連載投稿(1)今次ASEAN関係首脳会議の成果を積極的に評価する
石垣泰司
東海大学法科大学院非常勤教授
11月シンガポールで開催されたASEAN首脳会議、「ASEAN+3サミット」、「東アジア・サミット」等の一連の首脳会議の成果についての内外の識者の見方や評価は、ASEAN諸国を含め、かなり分かれているようである。
すなわち、ASEAN首脳会議で承認されたASEAN憲章については、2015年に共同体形成を目指すASEAN10カ国の地域協力の制度的枠組みを規定した基本文書としては、ミャンマー問題等今後の難問への的確な対応を視野に踏み込んだメカニズムの規定等を期待していた向きには、内政不干渉を引き続き掲げ、有効な手段がとり得ないとの失望感をもって迎えられた。また、「ASEAN+3サミット」が採択した今後10年間の「ASEAN+3」協力についての指針と作業計画に関する「第二共同声明」についても、採択された具体的ワーク・プランは、例えば昨年クアラルンプールで開催された「東アジア・シンクタンクネットワーク(NEAT)」総会で出された政策提言のいくつかを取り上げていないと指摘する向きもある。「東アジア・サミット」についても、今度で第3回を迎えたが、東アジア共同体構築に向けての「ASEAN+3」の枠組みとの具体的関係が依然見えてこない、といった点も指摘されている。
しかし、私としては、以上のような諸指摘にもかかわらず、今回の一連の首脳会議の結果については、将来の東アジア共同体構築に向けてかなりの進展をしるしたものと評価して良いのではないかと考える。
まず、東アジア共同体構築の目標に向けて進むためには、この地域内で既に実体として展開されてきているさまざまな緊密な地域協力や機能的協力に「形」(institutionalization)を与えていかなければならないが、ASEANは、これまで協力の実体はあったが、組織自体について規定した包括的基本条約を欠いていたことが大きな弱点とされてきており、ASEAN憲章に関する交渉が最終的に決裂せず、前文および55条からなる憲章の署名に成功したこと自体が、評価されるべきである。しかも内容的にも、ASEANの法人格を明記したことは、ASEAN機構の名において他の機構との間の条約の締結等主体的に行動しうることとなり、EUが最近正式に署名したリスボン条約の中で始めてその法人格が基本条約上明文化されたことに照らしても、その意義は少なくない。
また、ASEANの組織の全体像および代表者についても基本的規定が置かれ、重要な意思決定方式についてもASEAN wayによる話し合いに基づく「コンセンサス(全会一致)方式」が大原則とされているが、同時にコンセンサスによる決定が可能でない場合も想定されており、そのような場合には具体的決定方式をASEAN首脳会議で決定することができる(第20条第2項)としている。さらに、経済関係の履行過程においては、ASEAN加盟国全体の合意が得られない場合、一部の加盟国が不参加のまま、より進んだ段階の協力を推進しうる、所謂「ASEANマイナスX」方式(第21条第2項)といった現在EUでも採用されている先行的協力をも実施しうることとなっている。(つづく)
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