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2007-12-07 00:00
連載投稿(3)COP13と途上国貧困層の直面する環境問題
廣野良吉
成蹊大学名誉教授
バリ島での第13回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP13)で集中討議する京都議定書の第一約束期間(2008-2012)と2013年以降の温室効果ガスの削減を中心とした気候変動・温暖化対策と国際的な枠組み作りの緊急重要性に対しては、多くの途上国代表は、それが世界の重要な環境課題であるが、その大半の責任は産業革命以来地球上に温室効果ガスを撒き散らしてきた先進国にあるという認識を示している。
もちろん、近年中国、インド、メキシコ, ブラジル等工業化の進展が激しく、同時に一日一米ドル以下で過ごす貧困層が多い途上国も、大量の二酸化炭素を排出(2004年時点でそれぞれ世界の17.3%、4.6%、1.5%、1.1%で途上国全体としては42.5%)しており、その削減に対する世界的責任の一端を担うことが必要であるという認識も次第に醸成されていることも事実である。さらに、急激な気候変動(洪水と旱魃の繰り返し)が途上国、特にアフリカや南アジアの低所得国で短期的な食糧・農業生産の低下という重大な課題を既にもたらしていることや、長期的な温暖化(有効な対策の欠如の場合2100年には平均温度は摂氏1.4度ないし5.8度上昇)が穀物生産の長期的な低下、水の需給バランスや水質の悪化という深刻な影響を与えることに大きな懸念を示している。
このような状況の中で、途上国政府が当然ながらバリ島でのCOP13でも、COP12と同様に、「適応」問題とコベネフィット型CDM(クリーン開発メカニズム)、さらには京都議定書で削減義務を負っている先進諸国が、その削減目標の達成にどの程度努力しているかに対しては、多大な関心を示すことは想像できる。既にEUは国別にも、域内にも共通するCap and Tradeを実施しており、労働党新政権が誕生する豪州や大統領選挙を来年に控えた米国でも、その方向が真剣に模索されている中で、日本の今後の出方が世界的に注視されている。
しかし、低所得国や最貧国、さらにそこに住む貧困層にとっての環境破壊の中心課題は、長期的な被害が最大かつ広範囲となるが、自分たちだけで直ちに解決できない気候変動問題よりも、現在既に身近に起こっている自然環境保護と両立するsustainable livelihood を如何に実現するか、悪化しつつある地域的な環境問題に如何に対処するかであり、さらに遅々として進まないその事前防止対策を如何に進展させるかであることを、先進国に住む我々は理解しなければならないし、貧困層が直面しているこれらの課題への支援をわれわれの国際環境協力活動へ如何に反映させるかを模索しなければならない。(つづく)
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