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2007-12-05 00:00
連載投稿(1)途上国が直面している地域的環境問題
廣野良吉
成蹊大学名誉教授
12月3日からインドネシアのバリ島にて第13回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP13)が開催された。そこで議論された中心課題の一つは、世界の地球温暖化に重大な影響を与えている温室効果ガス排出の防止のために、京都議定書で排出削減義務を負った先進国等が、その第1次約束期間(2008-2012)にとるべき諸施策の強化を議論すると共に、2013年以降の新しい世界的枠組みをどうするかである。確かにこの課題は全地球的課題であり、途上国を含めた全世界の国々が今すぐ真剣に取り組まなければ遅きに失するということは疑いない。しかし地球温暖化問題はアジア、アフリカ、中南米の途上国が直面している幾多の環境問題の一つであり、それ以外にも特に途上国内の貧困層が直面している重要な切迫した環境破壊問題が山積していることは周知の事実である。
この事実は最近途上国で開催された5つの国際会議と先進国で開催された2つの国際会議への参加を通じて、従来以上に深く認識させられた。すなわち、一つ目は昨年11月に遡るが、ケニヤのナイロビで開催されたCOP12、二つ目は本年1月インドネシアのジャカルタでインドネシア政府とOECDが共催したアセアン10カ国のピアレヴュー会議、三つ目は本年4月にパリのOECD本部で開催された国際開発センターとDAC共催の「開発フォーラム」であり、四つ目は8月にシンガポールで開催された「東アジア・シンクタンク・ネットワーク(NEAT)」年次総会、五つ目は9月にインドのコルカッタで開催された全インド経営者会議、六つ目は本年10月JICA地球広場でのアジア・アフリカNGOネットワーク会議および引き続いて国連大学で開催された第4回アフリカ開発会議(TICADIV)のためのNGOフォーラムと国連大学共催の国際シンポジウム、七つ目は本年11月末マレーシアのクアラルンプールで開催された日本政府とマレーシア政府共催のODA評価アジア太平洋ワークショップである。
気候変動問題は全地球的課題であるが、大気汚染、水質汚濁、飲料水へのアクセス、土壌汚染、有害廃棄物、河川海洋汚染、ゴミ等の深刻な地域的環境問題が途上国各国を襲っていることは、特に1990年代以来訪問した各国、各地で体験・実感してきたことである。これらの地域的諸問題は、国際会議に参加していたアジア・アフリカ・中南米諸国のNGOを含めた代表団の間でも、さらに現地のテレビ、新聞紙上でも、近年一層大きな話題となっている。この背後には、一方で多くの途上国において、経済成長、工業化の進展により環境そのものの悪化が激化してきたことが根底にあるが、他方ではこれら諸国で中産階級が台頭し、所得・生活水準の向上と共に環境に対する価値付け、認識が変化してきたことによる面もある。(つづく)
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