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2007-12-05 00:00
中国、ASEANに求められる温暖化防止の責任感
安江則子
立命館大学教授
11月15日、ゴルバチョフ元ソ連大統領を迎え、「地球環境と人類の未来:ポスト京都への選択」と題するシンポジウムが京都で開催された(立命館大学とゴルバチョフ財団、国際社会経済研究所、京都新聞が共催、外務省が後援)。パネリストとして、アメリカと中国の環境問題の専門家が参加し、「中国にもCO2削減の義務を」という国際世論が高まる中で、ポスト京都議定書に向けてタイムリーな議論が行われた。中国のエネルギー専門家は、中国が1人当たりのGDPでみればいまだ途上国であり、国民の貧困や生活改善が目前の課題であること、そして国内の環境問題としては大気や水質の深刻な汚染など、温暖化より優先される問題があると主張し、国際的な義務は受け入れられないと述べた。日本の環境NPO関係者は、13億の人口をかかえる中国の内側には、日本の人口に匹敵する1億人以上の富裕層がおり、この先進国化した中国を、13億の分母で薄めることは認められないのではないかと指摘した。
1992年に開催されたリオの地球サミット以来、「持続可能な開発」の概念は定着したが、環境問題に関する先進国と途上国の「共通だが差異のある責任」の、「差異」をどのように扱うべきか、いまだ大きな意見の対立がある。急速に発展する国々が責任の一端を引き受けなければ、温暖化問題の解決は困難である。EUは、東欧諸国を加盟させる条件として、環境に関する既存のEU法規を、東欧諸国にも受入れさせることを原則とした。経済発展を優先したい東欧諸国の抵抗感は強かったが、結果的にこれらの地域の環境に関する様々な数値は大幅に改善された。例えば、東欧諸国において、1992年から1999年までのGDP単位あたりのエネルギー消費量(エネルギー原単位)は、工業部門で約33%、民生部門で約19%改善され、カドミウム、鉛、水銀など有害重金属の排出原単位はおよそ半減している。その数字はEU域外のロシアと比較すると顕著であることは明らかである。
この秋に署名されたASEAN憲章には、ASEANの目標として「持続可能な開発」が掲げられたが、その後の東アジア・サミットやCOP13においては、ポスト京都議定書について前向きな姿勢は示されなかった。東アジア地域が国際社会における存在感を高めるためには、地域の結束を最優先するだけなく、温暖化への取組みなど国際的な共通利益について積極的な役割を自覚することが求められよう。
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