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2007-11-16 00:00
連載投稿(4)わが国による民主化支援の方向
廣野良吉
成蹊大学名誉教授
民主化支援には、第一に選挙過程に対する支援として、公正な選挙を実施するための支援と強固な政党樹立の為の支援がある。また第二に国家機関に対する支援として、民主的な憲法起草のための支援、適正な代議制議会を確立する為の支援、責任ある効率的な中央・地方行政制度・機構を設置するための支援、効果的な司法制度の樹立の為の支援、民主的な軍隊の構築のための支援等がある。さらに第三に市民社会に対する支援として、NGO/CBOの設立・運営・活性化のための支援、市民の政治教育への支援、独立メデイア強化のための支援、労働組合強化のための支援その他がある。これらは、米国カーネギー財団が発表した民主化支援活動の主軸であり、米国サンフランシスコに本部を置く「アジア財団」やワシントンDCに本部を置く米国民主主義支援財団、ドイツのフリードリッヒ・エーベルト財団等は、この方向で、アジア諸国で現地のNGOと協力して民主化支援をしてきた長い歴史をもつている。
もちろん、各開発途上国・地域はその発展段階や社会構造が異なり、特有な宗教、文化、伝統や価値観に支えられている。このことを考慮すれば、民主化の目標を達成する道は各国・地域ごとにさまざまであり、民主化支援のあり方も多様でありうる。そのため我が国が進める民主化支援活動は、欧米諸国と共通の目標をもちつつも、中立かつ独立の立場から、各国・地域の草の根の住民の主体性を尊重し、その人々の「下からの民主化要求」に応え強化する「内発的民主主義体制」の促進でなくてはならない。そうした民主化支援はそれにより影響を蒙る途上国の人々が主体的、自発的に計画・実施し、時には途上国政府やNGOが推進する民主化運動を側面から支援することもあろう。その場合、当該国の人々に信頼され、受け入れられている国際NGOや国際機関と共に支援することになることもあろう。
そして、こうした民主化支援をわが国が実現するためには、中立かつ独立の立場から現地の人々の主体性とニーズに基づいた支援のあり方を模索し、国内外での人材育成、制度的枠組み作りと民主化支援NGOのネットワーク作りを、諸外国の民主化支援基金、政府機関、国際機関、国際NGO、そして何よりも現地NGOと連携して推進することができる、わが国NGOや民間民主化支援機構が必要となる。そのような取組みは、平和国家としての日本の国益に叶うだけでなく、世界中で紛争の惨禍と人権侵害に苦しむ人々に対して、直接的・間接的に支援の手を差し伸べることで、民主化支援を必要とする世界の国々の平和と安定に寄与する。(つづく)
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