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2007-10-25 00:00
連載投稿(1)胡錦濤の「完全勝利」に終わった?中国共産党大会
大江志伸
読売新聞論説委員
胡錦濤政権2期目のスタート台となる中国共産党第17回党大会が終わった。注目の最高指導部人事は、政治局常務委員9人のうち4人が新任だった。中でも「ポスト胡錦濤」時代を担う2人の若手常務委員が抜擢され、世界の耳目を集めた。胡錦濤政権は「規範(ルール)化」「透明化」を掲げて、一連の重要人事を処理してきた。しかし、肝心の最高指導部人事では、様々な未確認情報が飛び交い、ブラックボックス状態が続いた。それだけ、メディアの報道合戦も激しかった。実力者、曽慶紅国家副主席の去就といった焦点人事をめぐっては、近年になく多くの誤報が目についた。羮(あつもの)に懲りたのだろうか。党大会閉幕後の中央委員会総会で決まった最高指導部人事を伝える新聞各紙、専門家らの解説は、判を押したように無難な内容だった。「江沢民上海閥の力はまだ強く、胡錦濤は人事で主導権を握れなかった」というものである。
そうした中で異彩を放っていたのが、読売新聞10月23日付朝刊2面の北京・杉山祐之記者の論考である。杉山原稿は、この党大会で胡錦濤は「政治的な勝利を収めた」とし、「真の胡錦濤時代に向けた扉が開いた」と断じている。指導部人事についても「完全勝利」だったことを強く示唆している。同じ新聞社に属する身びいきからではなく、杉山記者の「胡錦濤完全勝利」説こそ、今回党大会の実相に迫っている、と私は判断する。今回の党大会の焦点は、▽胡錦濤が3年前に打ち出した自身の指導理論「科学的発展観」の党規約への盛り込み▽胡錦濤2期目を支えるだけでなくポスト胡錦濤への備えとなる最高指導部人事―の2点だった。
党規約改正における胡錦濤の「完全勝利」について異論はあるまい。党大会前は、胡錦濤の「科学的発展観」の中核をなす「和諧社会(調和のとれた社会)」論に異変が起きている、との観測が流れた。だが、「和諧社会」は胡錦濤の政治報告全篇にわたるキーワードとして盛り込まれ、党大会で採択された。肝心の党規約改正でも、新指導思想「科学的発展観」が全会一致で盛り込まれた。指導者が在職中にその指導思想が党規約に書き込まれたのは、毛沢東以外にない、との事実は、形式論とはいえ相当の重みを持つ。胡錦濤は「イデオロギー政党での権威確立に欠かせない政治路線を掌握」し、「党内ではもう胡路線に公然と異を唱えることはできない」(杉山原稿)完全勝利を手中にしたのである。
一方の人事面の「完全勝利」は、二段構えで見るべきだ。 まず、昨年から着実に進めてきた地方指導部や軍の人事、そして今回党大会で決まった中央委員人事である。専門家諸氏がすでに詳細な分析、論考を発表しているように、ここでは胡錦濤の意のままの結果となった。問題は共産党ピラミッドの頂点部分、政治局常務委員人事をどう見るかだ。冒頭指摘したように内外メディアは、こぞって江沢民率いる上海閥の介入があったとし、高級幹部の子弟グループ「太子党」らを含むバランス人事を受け入れざるを得なかった胡錦濤の「限界」を指摘する。果たしてそうだろうか。(つづく)
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