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2007-10-19 00:00
連載投稿(1)日本武道の国際化への疑問
宮脇磊介
国際武道大学理事、初代内閣広報官
このところ、武道に関して二つの話題が新聞で取り上げられた。一つは、中央教育審議会の専門部会が学習指導要領を改正し、中学校の保健体育の授業に武道を男女とも必修とする案をまとめたことである。もう一つは、国際柔道連盟の総会で、日本選出の役員がはじめて不在となったことである。日本武道の国際化は目覚しいものがある。柔道や剣道はオリンピック種目に採用されたり、世界選手権戦が行われるようになり、なお発展している。
日本武道の「国際化」は、三種の内容を持っている。一つは、日本武道そのものの海外への普及。二つは、海外や国際機関でのスポーツ化による日本武道の変形。もう一つは、諸外国・地域の固有の文化との融合による日本武道の変化である。勝っても負けても相手に対する敬意と感謝を礼によって表わす柔道が、国際試合では、勝つや否やガッツポーズをとってはねまわるようになった。試合で勝つことのみを目的とする韓国の剣道は、世界選手権大会で優勝するばかりか、剣道の元祖は韓国にありとするに至っている。数年後に計画されている柔道や剣道を種目に含む「世界マーシャルアート(格闘技)大会」に、単なるスポーツと一線を画する“日本”の柔道と剣道が参加するか否か、難しい問題が投げかけられている。
日本の武道とは何なのか。日本武道の本質が今ここに日本国民に問いかけられているのである。江戸から明治になり武士の存在が無くなった頃、日本の武芸には600を超える流派があった。その殆どが、講道館による柔道と全国剣道連盟による竹刀(しない)剣道に集約された。それら以外の起倒流や柳生新陰流などの諸流派は「古武道」として扱われるようになった。柔道では嘉納治五郎師範がスポーツ化したため、古来の柔術に存在した幻妙な技の多くが禁止技となった。剣道も木刀が竹刀(しない)に代ってスポーツ化が進んだ。こうしたことによって、現在行われている日本の柔道と剣道は、実はそれまで数多くの武芸家が生命を懸けて探究してきた日本古来の武芸とはほど遠いものとなってしまったのだ。(つづく)
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