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2007-10-12 00:00
連載投稿(9)わが国の環境国際協力への取り組み
廣野良吉
成蹊大学名誉教授
わが国の環境国際協力は、従来から環境政策分野すべてに及んでいるが、特に当初は、上下水道整備、ゴミ処理、大気汚染(含酸性雨)・水質汚濁・海洋汚染・土壌汚染・砂漠化防止とモニタリング、廃棄物3R、公害対策、植林・森林保全等における、いわゆる「箱物」協力とそれに関連した人材育成が多かった。しかし、近年では環境政策の立案、環境行政の整備、環境関連法整備、環境教育・学習、省エネ技術体系の整備、有害廃棄物の規制システム、環境影響評価制度の充実、グリーン購入の推進、環境報告書の作成、環境NGO体制強化支援等、いわゆるソフト分野の国際協力も顕著となってきた。
さらに、二国間協力から多国間協力への広がりも見えてきており、1993年の環境国際協力に関する答申を契機として、1996年京都議定書案の作成と国際的合意形成へ指導力を発揮して以来、アジア太平洋環境開発フォーラム(APFED)や3R国際会議の召集に見るとおり、新たな部門での環境に関する国際的枠組み作りのための合意形成に向けて努力を重ねている。2005年8月に発表した中央環境審議会地球環境部会による国際環境協力専門委員会報告書「今後の国際環境協力のあり方について」は、今後の国際環境協力の取り組みの方向として、世界的な枠組み作りへの戦略的関与とアジア太平洋地域における環境協力の枠組み作りに向けたわが国のインシャテイブを重視して、わが国の多様な主体による国際環境協力への参画と国際環境協力実施体制の強化を訴えている。
低炭素社会の構築こそ、上記勧告に合致したわが国が世界的かつ地域的に指導力を発揮して、国際的な枠組み作りに向けたイニシャテイブをとれる分野であり、早急にそのための国内外の体制固めに着手することを期待したい。そのために以下のことを提言する。なお、これらの事業の計画・実施・モニタリング・評価に必要な資金は、上記の各国が拠出して設立される「地球温暖化防止・低炭素社会実現世界連帯基金」の活用が期待されるが、その発足までは、政府がもつ既存の二国間・多国間国際協力資金を利用することが望ましい。
まず、途上国、特に東アジア途上国における低炭素社会の実現に向けて、わが国の政府・機関、地方自治体、大学・研究機関、企業、NGO/NPO団体等多様な主体が、国際機関や地域協力機関との連携の下で、その比較優位を発揮しつつ、協力関係を強化し、途上国の法整備、行政能力の向上、研究開発体制の強化を図ることが望ましい。
次に、低炭素社会の実現には、地域社会がイニシャテイブをとることが最も効果的であることに鑑み、東アジア地域各国の地方自治体がその協力関係を強化し、相互の比較優位に基づき研修生の受け入れ、専門家の派遣、共同研究、合同モニタリングを強化することが望ましい。国連アジア太平洋環境大臣会議の下で推進されている「北九州イニシャテイブ」が、低炭素社会の実現をアジア太平洋地域におけるその協力課題として推進することを期待したい、さらに、わが国で既に国連大学・高等研究所との連携の下でゼロ・エミッション活動を含めて展開している6つの地域専門センター(、岡山広域圏、仙台広域圏、横浜広域圏、北九州広域圏、名古屋広域圏、神戸広域圏RCE)は、東アジア地域の他のRCEと協力して、途上国におきえる低炭素社会の実現に必要な知識、技術、行政制度、市民参加、国際協力体制の整備のためのプロジェクトを直ちに推進することを期待したい。(つづく)
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