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2007-10-07 00:00
連載投稿(4)低炭素社会の実現と求められる社会構造
廣野良吉
成蹊大学名誉教授
低炭素社会は、わが国政府が本年6月発表した「21世紀環境立国戦略」にも明示しているように、基本的には、「徹底的な超効利用やクリーンな生産システムの導入や家庭、オフィスにおけるエネルギーの高度利用が進展した社会」であり、「二酸化炭素を排出しないエネルギー源の利用が進んだ社会」であり、特に「太陽光等のエネルギーの導入が進展した社会」であり、「水素の利用が大幅に進展した社会」である。このような社会の実現のためには、環境技術の革新が求められるが、そのような技術革新を促進・普及し、その効果的な導入・成果を享受することが容易となる経済社会システムの導入が不可欠である。
しかし、いずれの社会でも、低炭素社会への転換に不可欠な技術革新の進展・普及を阻害する諸々の条件、特に再生可能なエネルギーに対比した化石燃料の低価格、化石燃料の使用に依存した各種機械機器・生産工程の広範な定着、石油化学製品に依存した生活様式の普及等が存在し、その結果、かかる技術革新の導入・定着による「低炭素社会」の実現、それによる経済的・社会的・環境的持続可能性の進展が阻害されている。この傾向は、化石燃料の産出国や化石燃料に長年依存してきた先進国で特に強い。
途上国が低炭素社会を構築するためには、先進諸国が過去に辿ってきた化石燃料・エネルギー集約的産業構造・生活様式を回避して、化石燃料・エネルギー節約型の経済構造・生産工程・生活様式を導入することが望ましいことはいうまでもない。一般に途上国では、特に農村地域でバイオマス燃料に依存する割合が大であり、化石燃料依存が比較的少ないが、この屋内使用がもつ健康被害を最小限に食い止めるためには、新しい技術開発が求められている。さらに、これら農村地域でも電化が進展し、近代的な電力サービス網が構築されるに従い、水力発電、地熱発電、太陽光発電、風力発電等従来型の汎用技術に基礎をおいた低炭素社会に不可欠な技術の導入・移転が益々重要となってきている。
さらに、京都議定書の下でのCDM事業も、水力発電にみるような自然再生エネルギー生産や森林造成にみるように、地球温暖化防止に効果的なGHG排出量削減に貢献している。これらの技術導入の度合いは、それぞれの途上国がおかれた経済的・社会的・生態的状況によって差があることは事実であるが、基本的には技術革新の問題というよりも、既存の技術の導入問題である。それを支える管理者、技術者、技能者の開発・確保、そのための条件整備は重要であるが、これは低炭素社会の導入への熱意如何、すなわち政治的指導力の如何によるところが大きい。(つづく)
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