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2007-10-05 00:00
ミャンマー情勢に思う
安江則子
大学教員
9月27日ASEANは、ニューヨークにおいて、国連との間でより緊密な協力関係を築くための覚書を締結した。そのニューヨークで、ASEAN非公式外相会議が開催され、ミャンマーに対する議長声明が発せられた。ASEAN諸国は、現在11月に向けてASEAN憲章を準備中で、従来の内政不干渉路線から、柔軟に関与しあうシステムへと転換し、新たなステージに入ろうとしている。ミャンマー情勢への対応は、ASEANの政治的な連帯と国際社会における存在感を占う試金石となろう。
ミャンマー情勢に関しEUとアメリカ合衆国は共同声明を発し、そのなかでミャンマー国民に対する連帯を示すとともに、デモ参加者に対する暴力行為を非難し民主化を強く求めた。欧米の政府やNGOが人権問題に敏感に反応するなか、これまで日本はミャンマーにとって忍耐強い支援国であった。ただし、ミャンマーに対する日本のODAは、乾燥地植林計画、ユニセフを通じた母子保健サービスおよび大学院への学生の受入れと、他のASEAN諸国に対する支援と比べて限定的で、政権維持に直結するものではなかった。その日本も、10月になって支援を当面停止するとの方針を表明した。穏健なデモに発砲した軍事政権に厳しい姿勢をとるのは当然である。
その一方で忘れてはならない現実がある。ミャンマーは、後発発展途上国に分類されるが、識字率は比較的高く85%に達している。ところが水道が引かれていない学校が約8割に上るなど、衛生面で多くの課題を抱えており、約10人に1人が5歳未満で死亡している。今年の夏に豪雨被害も受けたラカイン州などにおいて、日本も拠出しているユニセフや国連人口基金などを通した人道支援も滞ることになればさらに深刻な事態となる。
筆者が所属する大学の研究科にも外務省による支援を受けたミャンマーの学生が在籍している。公務員でもある彼らは自国政府を批判できる立場にないが、日本滞在中に国際社会が自分たちの国をどう見ているのかを感じるであろう。こうした若い世代の人材によい統治システムへの転換の期待をつなぎたい。
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