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2007-10-04 00:00
連載投稿(2)地球温暖化に対する途上国の姿勢
廣野良吉
成蹊大学名誉教授
EUは2020年までに1990年に対して20%のGHG削減数値目標を、さらに2007年のEU環境大臣会議は2050年までに1990年に対して50%の削減目標を自らに課している。そして、世界全体でも2050年までに1990年に対して60-80%削減目標の設定を提案している。
さらに、京都議定書で定められた2008-2012年の第1次約束期間終了後においては、現在以上のGHG「義務的」削減数量目標を国際的に合意・設定し、その実行に努めることを米国、豪州を含めた議定書付属書I国に課し、一部途上国もある程度の削減義務を負って、国際社会の地球温暖化防止対策に協力することを求めている。これは、京都議定書で削減義務を負うすべての国々が、議定書の削減義務を完全に遵守したとしても、2012年の削減量は1990年の総排出量の僅か2%に過ぎず、これでは、GHG年間吸収可能量(31億トン)に遥かに及ばず、このままいけば2050年でも排出量と吸収量の均衡化は達成できないからである。
他方、京都議定書を脱退した米国や豪州は、2012年議定書以降の国際的合意形成においても、基本的には各国が自発的にGHG削減数値目標を設定・達成することを優先してきた。また、途上国、特にGHG排出量が大規模なブラジル、中国、インド、メキシコ等が参加する国際的枠組みの設定を主張してきた点は、現段階のEU、日本とも共有できる。来年の米国大統領選挙によって、この基本路線に軌道修正が見られることが想定される中で、本年9月の地球温暖化防止に関する国連総会、同じく米国が提唱してワシントンDCで召集された地球温暖化防止国際会議では、国際的合意がなされたことは特記に値する。
本年12月のバリ島におけるCOP13では、日本が一層主導権を発揮して、これまでの合意事項の細目において今後一層EUと米国・豪州間の基本的姿勢での歩み寄り、さらに先進諸国と途上国との間で歩み寄りが見られことを期待したい。特に、今後の新しい国際的な枠組みの構築への道筋を作成する上で、少なくともハイリゲンダムG8での2050年までにGHG総排出量半減という合意を出発点として、GHG大規模排出途上国を含む地域別ないし国別の削減目標(例えば、国際的制裁を伴う最低義務的目標と国際的奨励策を伴う自発的目標の抱き合わせ等)の設定で進展することを期待したい。(つづく)
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