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2025-04-11 00:00
(連載2)関税政策の復活をチャンスとするには-国内経済の復興
倉西 雅子
政治学者
アメリカによる関税の設定は、関税の復活と言うよりも、国家の関税自主権、関税政策、あるいは、自立的な通商政策の決定権の復活と表現した方が適切なのかも知れません。この文脈からすれば、トランプ大統領は、通商に関する国家の権限の奪還に向けて狼煙を上げた、最初の人物とも言えましょう(仮に、パフォーマンスではなく、本気であれば・・・)。アメリカが、弱肉強食と所得格差の拡大を是とし、国家の消滅を目指すグローバリズムと決別し、自国の国内産業の優先と復興を基本方針とするならば、他の諸国も、高率の関税を嘆くよりも、自らも同方針に転換すべきなのではないでしょうか。
同方針に基づく具体的な政策とは、先ずもって関税障壁によって減少する輸入品を国産品に代替するというものです。短期的にはマイナス影響が予測されたとしても、代替品の生産拡大は、長期的には当然にGDPの増加に寄与しますし、新しい雇用も生まれます。輸出に依存してきた産業も国内市場重視に転換し、適正な規模にダウンサイジングする(労働力人口の減少を理由とする移民政策も不要に・・・)、あるいは、高関税でも、相手国の製品と競合せず、一定の輸出量を確保できる個性的な製品の開発に努めるべきかも知れません。
もっとも、内製化に際しては、エネルギー資源を含めて天然資源に乏しく、原材料を輸入に頼っている現状では、コスト高という壁が立ちはだかっています。この問題についても、発想を転換すれば解決が不可能なわけではありません。‘なければ造ればよい’のであって、代わりとなる新素材や新たな生産方法を開発すれば、資源不足の問題も乗り越えることができましょう。科学立国の復活でもあり、日本国の面目躍如ともなります。
日本国のみならず、各国とも、自国経済に集中するほうが、相互に相手の市場を荒らし、弱肉強食となるグローバル時代の貿易戦争に巻き込まれ、敗北すれば‘植民地化’されるよりも、はるかに平和的で安定的です。未来の国際経済とは、各国が自国産業の実情に照らして適切かつ賢明な関税政策を実施し、農業を含めて自立し得る経済を整えた上で、相互利益となる品目や製品を中心に通商を行なう体制へと移行すべきではないかと思うのです。(おわり)
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