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2025-04-10 00:00
(連載1)関税政策の復活をチャンスとするには-国内経済の復興
倉西 雅子
政治学者
今朝方、驚くようなニュースが飛び込んできました。それは、アメリカのトランプ大統領が、中国を除く諸国に対して一律10%関税を維持しつつも、90日間、相互関税の一部を停止したというものです。この‘変心’については、‘最初に高く持ちかけつつ、後に下げることで相手に要求を受け入れさせる交渉戦術であるとする見方’や、‘高率の相互関税は、百戦錬磨のディーラーでもあるトランプ流の手段であって、そもそも本気ではなかった’、あるいは中国が除外、かつ、125%に上乗せされたことから、‘本丸は中国である(他の諸国はダミー)’とする見解もあります。経済界は、めまぐるしく変わるアメリカの関税政策に右往左往する状態なのですが、グローバリズムがその無慈悲な側面ゆえに退潮を見せる中、ここは、長期的な視点から今後の国際経済の在り方について考えるべきように思えます。
短期的には、関税の復活は、それが何%であったとしても、アメリカを含む何れの諸国に対してもマイナス影響を与えることでしょう。先ずもって、アメリカ市場に製品や商品を輸出している諸国は、対米輸出依存度が高い産業や企業ほど強い打撃を受けます。今般の一時停止では、中国だけは125%という高率の関税率がかけられますので、一時的であれ関税率10%に留まった諸国の企業も、中国に生産拠点を移し、中国からアメリカに‘made in China’として自社製品を輸出している場合には、相当の対米輸出の減少を覚悟する必要がありましょう。アップル社をはじめアメリカ企業であったとしても、製造国が中国でアル場合には、マイナス影響を免れ得ないのです。
その一方で、アメリカの消費者も、安価な輸入品を購入することがもはや叶わなくなりので、輸入インフレ、即ち、物価高に見舞われます。日用品や消耗品等の生活に必要不可欠な商品の供給を中国に頼っていた場合には、アメリカ人の家計を圧迫することともなりましょう。所得水準の低い世帯ほどマイナス影響が及びますので、バイデン政権から続いてきた物価高に対する国民の不満がさらに高まってしまうという懸念もあります。もっとも、為替相場がドル高であれば、国内の物価への影響は若干は低減されましょう。
以上の内外両面におけるマイナス影響の予測から、世界大での景気後退や世界恐慌の再来まで予測される事態ともなったのですが、そもそも高関税率の設定とは、国内の産業を護るための保護主義政策の手段です。今日、行き過ぎた自由貿易主義、並びに、グローバリズムが、先進国にあっては‘産業の空洞化’を招く一方で、中国の一人勝ちを許し、‘最適な国際分業’や‘資源の効率的配分’の名の下で、国家が自己決定権を失い、モノカルチャー的な生産と不利な役割をグローバリストに押しつけられている現状を見ますと、関税を含めて国境を‘絶対悪’と見なし、強者必勝を原則とするグローバリズムへの回帰が‘正解’であるとは思えません。トランプ大統領の関税政策については、‘問答無用’とする批判がありますが、その一方で、グローバリストも‘問答無用’で国家に対して国境を取り払うように求めているのです。(つづく)
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