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2025-04-08 00:00
北朝鮮の核開発情勢について
真田 幸光
大学教員
北朝鮮政府は3月8日、キム・ジョンウン総書記が、「核動力戦略誘導弾潜水艦」の建造現場を視察したとして現場写真を公開した。「核動力戦略誘導弾潜水艦」とは、弾道ミサイル発射能力を備えた原子力潜水艦(SSBN)を意味すると推定されるが、これは2021年1月にキム・ジョンウン総書記が党大会で開発を命じた、「5大戦略」の一つでもある。北朝鮮はこれまで「原子力潜水艦」に言及したことはあるが、実際に建造現場を公開したのは、今回が初めてであり、また、核爆弾開発だけでなく、広義の核開発をしっかりと推進しているということになる。そして、こうした核開発推進の裏には、北朝鮮がウクライナ戦争への派兵の見返りにロシアから関連技術を受け取った可能性もあるということを我々は意識しておかなくてはならない。
北朝鮮の朝鮮中央通信によると、今回、キム・ジョンウン総書記は造船所を訪れ、建造中の「核動力戦略誘導弾潜水艦」を視察した上で、「敵たちを制圧する核強国の強力な抑制力という使命を遂行しなければならない。」と述べたとも報告されている。SSBNは、原子力推進エンジンによって長時間潜航し、奇襲的に戦術核弾道ミサイルを発射できる潜水艦であり、戦力バランスを崩すことの出来る、「ゲームチェンジャー」にも挙げられる高い技術力を背景にして建造されるものである。北朝鮮は2023年9月に「核攻撃潜水艦」として「キム・グンオク英雄艦」を公開したが、これはSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)の発射は可能であるが、原子力推進ではなくディーゼルエンジンを搭載した通常動力型潜水艦であったと見られている。北朝鮮が今回、公開した写真などを見ると、新浦造船所で開発・建造中であると見られ、建造中の潜水艦は排水量5,000~8,000トン級と見られている。
こうした状況に対して、韓国軍関係者は、「キム・グンオク英雄艦よりも更に大型のものを建造しているようだが、仮に原子力推進が事実であるとしても、進水までに今後2~3年、原子力推進の運用には更に数年掛かるだろう。」との見方を示している。但し、北朝鮮がロシアから深海の水圧に耐えられる小型原子炉の製造技術を提供しているとすると、開発期間が短縮される可能性もあるとの見方もある。更に、キム・ジョンウン総書記の5大戦略が着実に進んでいるとの見方も出、その結果、朝鮮半島を含め米国本土まで核攻撃が可能な戦略兵器体系が構築されつつあるとの見方も出てきている。
北朝鮮はここ数年間で、極超音速ミサイルや固体燃料型ICBM(大陸間弾道ミサイル)の試験発射、更にはMIRV(多弾頭個別誘導技術)の試験発射に成功したと主張、そして偵察衛星は2023年に3回打ち上げ、3回目の試みで「成功した」としている。こうした状況を受けて、「韓国軍も、北朝鮮の原子力潜水艦に対応する為の武器体系を整備し、米韓防衛態勢をアップグレードする必要がある。」との声も高まっており、日本としても防衛力の抜本的見直しをしなくてはならないかもしれぬ状況となってきていると言える。
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