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2024-11-29 00:00
(連載1)ヨーロッパで不信感を持たれた「一帯一路」
宇田川 敬介
作家・ジャーナリスト
11月1日に、セルビアの首都ベオグラードの北西70kmにある都市、ノヴィサドの鉄道駅で、駅舎の外側に設けられた屋根が崩落する事故が発生。少なくとも14人が死亡し、30人以上が重軽傷を負った事故から、この工事を請け負った中国に対するヨーロッパの不信感と一帯一路への不信感に関して見てみたいと思う。
そもそもセルビアといって、どの様な国であるか、皆さんはすぐにイメージできるであろうか。あまりピンとこない人が多いと思うが、そのような場合、中国はそのような日本であまりなじみのない国に行って、一帯一路の宣伝をしているのであるというように考えていただければよいかもしれない。国際情勢に明るくないということは、日本においていくら様々なことを言っていても、具体的に行動できないということになるのである。
ちなみに、セルビアは旧ユーゴスラビアの中の国で、東南ヨーロッパ、バルカン半島中西部の内陸に位置する共和制国家。首都はベオグラード。北にハンガリー、北東にルーマニア、南東にブルガリア、西にボスニア・ヘルツェゴビナ、南にコソボ、北マケドニア、南西にモンテネグロと国境を接している。また、同国のヴォイヴォディナ自治州部は西にクロアチアが接している。民族構成は、セルビア人が82.86%、と最も多い。セルビア人のほとんどは正教会の信者であり、セルビア正教会に属している。また、マジャル人やクロアチア人の多くはカトリック教会、ボシュニャク人やアルバニア人はイスラム教が多い。セルビアの2018年の国内総生産は、IMFの試算によると約505億ドルである。モンテネグロを含むセルビアの鉱業を特徴付けるのは豊富な有機鉱物資源である。品質は低いが燃料に向く褐炭を大量に産出する。2002年時点の採掘量は、世界シェアの3.8%に達する3450万トン(世界第10位)である。品位の高い石炭の採掘量は10万トン、原油は88万トン、天然ガスは28千兆ジュールである。無機鉱物資源は種類が多いものの、採掘量は少ない。亜鉛、金、銀、銅、鉛、アルミニウムの原料となるボーキサイト、マグネシウムを産出する。
そんな国の首都の鉄道駅を中国が、日本のODAのようにして開発し、そして、その駅が崩落出死傷者を出す事故を起こしたということになる。駅は、運輸省が1600万ユーロ(約26億円)を投じて2021年から中国企業によって改修工事が行われ、今年7月に工事が完成したばかりだった。駅の改修は中国政府が進める「一帯一路」構想の一環で駅の改修工事を請け負ったのは、中国鉄路国際有限公司(CRIC)と中国通信建設有限公司(CCCC)だったが、もともと中国人はセルビアにおいてあまり信用されていないことから、数千人規模のデモが発生し、中国人排斥を訴えいているということになる。(つづく)
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