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2007-09-19 00:00
連載投稿(5)東アジア共同体構想はインドを受け入れよ
廣野良吉
成蹊大学名誉教授
インドがよく言い、欧米諸国がそれに口合わせをしている「インドは世界最大規模の民主主義国家である」という点については、インドの各階層と40年以上の付き合いがある筆者は、違った考え方を持っている。筆者は「インドには、二つのインドがある。一つは、1千万人ないし5千万人のインド――経済的・技術的・知的に進んだ躍進するインドであり、もう一つは10億人ないし11億人のインド――封建的な社会構造に組み込まれて底辺をなす苦悩するインドである。インド・エリートが誇らしげに語る民主主義思想の恩恵を受けているのは、前者のインド人、組織のみである」と、インド国内外で常に主張してきたし、インド・エリートの民主的政治思想が本当に民主主義制度になるためには、その成果が国民大衆一般に裨益していることが重要であると説いてきた。
それにも拘わらず、この矛盾に満ちたインドが東アジア共同体の構成国になることは、一方で膨大な貧困層やその他諸々のインド国内の困難な諸課題を東アジア共同体が抱えることになるが、この点は既に膨大な貧困層や同種の課題を抱えている中国を構成国としている東アジア共同体の構築上は、現在それほど大きな課題にはなっていないと考えられる。他方で11億人(インド人口統計局推計:2026年には14億人)の現在および今後優秀となる労働人口を抱え、その労働力を今後アジア全体で有効に活用できるし、また今後長期にわたって巨大な消費市場を提供してくれるという経済的優位性の魅力がある。それ以上に魅力的なのは、インド人エリートがもつ理論的・技術的能力、日本人や東南アジアの人々が学びたい国際交渉能力、欧米社会から尊敬されている文化的素養、印僑のみならず世界的な多国籍企業最高経営者層との世界的な人的ネットワークである。
どんな理由にせよ、もし東アジア共同体構想がインドを受け入れないならば、インドは欧米諸国、中近東諸国、あるいは他の新しい国際的な枠組み(例えば、インド、中国、ブラジル、メキシコ、アルゼンチン、ロシア、南アフリカ等の新生経済諸国連合)などに傾倒していく可能性がある。(おわり)
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