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2024-09-07 00:00
(連載1)「中国アフリカ協力フォーラム」とロシア「東方経済フォーラム」に見る外交攻勢
篠田 英朗
東京外国語大学大学院教授
9月5・6日、中国の北京で「中国アフリカ協力フォーラム(FOCAC)」が開催された。ロシアのウラジオストクでは、9月3~6日の日程で「東方経済フォーラム(EEF)」が開催された。二つの国際フォーラムは、別の目的・対象・性質を持って、別個に行われたものだ。しかし時期が重なったことによって、中国とロシアの活発な多国間外交が印象づけられる格好となった。
「FOCAC」には全てのアフリカ諸国の参加があり、ほとんどが国家元首か、そうでなくても政府首脳の出席であった。アフリカ大陸外で、あるいはAU(アフリカ連合)サミットなどの特別な機会を除き、これだけのアフリカ諸国の国家元首・政府首脳が一堂に会するのは、極めて珍しいことであり、圧巻であった。3年に1度、中国とアフリカと交代で、首脳会議を開催するので、6年に1度の北京でのイベントだということもある。それにしてもアフリカ諸国にここまでの吸引力を誇れる国は、中国以外には、存在しないだろう。ロシアで開催された「EEF」には、マレーシアのアンワル首相や韓正国家副主席など、政府首脳・高官や企業関係者600人が、76カ国から集まったという。極東地域の経済協力に特化したフォーラムとしての位置づけである。ただしもちろんロシアに対して「制裁」を発動している日本などからは参加していない。
二つの全く異なるフォーラムで、参加者も異なっているが、米国及びその同盟諸国を除外した国際フォーラムである点は、一致している。折しも、プーチン大統領のモンゴル訪問が、ICC加盟国としての義務に反しているということで、国際的なニュースになったばかりの時期だ。ロシアに「制裁」を科している米国及びその同盟諸国を、逆にロシアや中国が、囲い込むようにして、国際フォーラムを開催している流れとなっている。米国の同盟諸国は、「G7」や「OECD」を中心にした経済フォーラムを持っているが、すそ野の広さ、という点では、停滞気味だ。
ウクライナ外務省は、プーチン大統領の訪問後、モンゴルは「戦争犯罪の責任を共有してしまっている」と糾弾し、「私たちは、パートナーたちと共にウランバートルに結果が生じるように活動していく」と述べた。しかし、ウクライナ政府の宣言にもかかわらず、今のところモンゴルに対して制裁のような措置をとろうとするような国が出てきたという話は聞かない。それどころかまだ表立った批判すら出てきていない状態だ。すでに私が数日前に書いたように、そんなことをしている余裕は、欧米諸国側は、持っていないのが実情だろう。ウクライナが、自らの怒りのままに、自由自在に欧米諸国を動かせるような状況ではない。https://agora-web.jp/archives/240903104538.html
(つづく)
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