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2024-09-03 00:00
(連載1)負のサイクルから抜けられない中国経済
岡本 裕明
海外事業経営者
2008年のリーマンショックの際、株価が軒並み暴落する中、私は自分のブログで「株価が上がるのは100均業者ぐらいかもしれない」と申し上げました。16年前に書いたことですが案外覚えているものです。その代表格、Dollar Tree社の株価は08年9月当時は12㌦程度。そこから長く見事な右肩上がりとなりピーク時には160㌦を超えていました。人間、消費行動はある程度本能的に行うもので「お金を使う癖」がどれだけしみついているか次第でほぼ無意識に消費をします。ところがそのお金がないとなれば使う金額を減らしてでも消費を愉しむ行動に出るので100均は大賑わいになるのです。俺はモノは買わないぞ、という方も無意識に飲み屋に行っている方もいるでしょう。私も週に1-2回(いやもっとかも)行く方です。本能的行動なのでしょう。
もしもその100均ですら買えないとなればこれは経済的にかなりシビアな状態にある、こう考えるべきでしょう。私が長く持っていた中国のミンソウ社の株も程よい金額で売却しました。これは国内消費が伸びないので海外でいくら成長しても経営数字にはボディブローのように効いてくると判断したからです。中国安売りECの両綱といえばSheinとTemuです。Sheinは非公開企業なのですが、Temuを持つPDD社の4-6月決算発表では売り上げが予想に届かなかったことを受け一日にして29%の株価下落し、その後の展開もさえない状態になっています。
中国小売りについては11月11日の独身の日セールに次ぐ二大イベント、6月の「618セール」が行われたのですが、これが今年は開催以来初の前年比マイナス7%の売り上げになりました。中国人の消費意識はそれまでの爆買いにみられた消費型から貯蓄型に一気に転換しています。「貯金は良いことだ」とした人はこの6年間で20%ポイントアップし60%を超えてて来ています。日本の1990年頃をはさんだ前後の動きとほぼ同一と考えてよいと思います。中国の消費者物価指数は下落に次ぐ下落で現在はゼロ前後をさまよっています。
中国の一人当たりGDPは現時点で12500㌦程度で世界ランクで見れば74位で同じくらいの位置にはトルコやマレーシアがあります。一人当たりGDPは国民の富を見るうえでは参考になるのですが、今、面しているのは中進国の罠というより共産主義の限界といったほうが正しい気がしています。経済は不正不当競争防ぎながら自由な競争と市場の需給の自動調整機能を重視すべきというのが基本シナリオです。(つづく)
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