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2007-09-17 00:00
安倍総理の辞任に思う:日本は真の独立国か?
山下英次
大阪市立大学大学院教授
安倍晋三総理が、インド洋での海上自衛隊の給油活動の継続問題を巡って突然辞任した。周辺の事情がどのようなものであれ、アメリカのイラク戦争にかかわって一国の首相が辞任したことは、改めてわが国の独立性を問うものではないだろうか。筆者の理解では、全く純正に愚かなブッシュの戦争に対する協力を巡って自国の首相が辞任したことに、国民は大いなる疑問を抱くとともに憤慨すべきである。然るに、12日の総理の辞任表明記者会見でも、こうした問題意識に基づく質問は皆無であった。
昨年10月、大阪市立大学では、「ヨーロッパに学ぶアジア地域統合の推進」と題する国際シンポジウムを3日間にわたって開催した。その際、スピーカーの一人として招いたカレル・ヴァン・ウォルフレン(アムステルダム大学教授)は、日本は、アメリカの同盟国というよりも、「家来」(vassal)のような存在であると指摘し、日本のような大国が他の国に対して一方的な隷属関係(vassalage)にあったことは、世界の長い歴史の中でも例がないのではないかと発言した。
同氏は、かつては厳しい日本批判を展開していたが、今では、日本をかなり好意的に見ており、自他共に認める最も厳しい反米論者の一人である。私は、何年か前、大学1年生を対象とした「基礎演習」のクラスで、同氏の著書『アメリカからの〈独立〉が日本人を幸福にする』(実業之日本社、2003年)をテキストに使用したことがある。ヴァン・ウォルフレン氏の指摘は、残念ながら否定しようがない。私の理解では、今の日米関係は、「支配し続けようとする国」(米国)と「世界の大国の一つでありながら、また敗戦後60余年を経た今もなお非独立国的立場を甘受し続けようとする国」(日本)との間の極めて異様な関係である。
今回の出来事も、この異様な日米関係の一つの極めて大きなコストと認識すべきである。われわれは、日米同盟のコストを冷徹に計算し、その上で、国のあり方について熟慮すべきときに来ている。このまま、米国に追従し、非独立国的立場のままでい続けるのか、それともアジア地域統合の推進に積極的に関与することを通じて、れっきとした独立国になるかの選択である。
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