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2024-07-15 00:00
(連載1)オルバン首相の「平和ミッション」は何をもたらしたか
篠田 英朗
東京外国語大学大学院教授
ハンガリーのオルバン首相の「平和ミッション」が、大きな話題を作った。まず7月2日にウクライナを訪問して、ゼレンスキー大統領と会談した。不仲が伝えられていた二人だけに、オルバン首相のキーウ初訪問は、好意的に報道されたところもあった。実際には、停戦をもちかけるオルバン首相に対して、ゼレンスキー大統領は冷淡だったのだが、そこは織り込み済みと扱われた。
ところがオルバン首相は、その後にモスクワでプーチン大統領と、さらに北京で習近平国家主席と、極秘訪問の会談を繰り返した。途中でアゼルバイジャンで開かれたチュルク諸国機構(OTS)の非公式首脳会議にも出席し(アゼルバイジャン、カザフスタン、カザフスタン、キルギス、ウズベキスタン、トルコが構成)、ワシントンDCで開催されたNATO首脳会議に出てあらためてOTSの最大国であるトルコのエルドアン大統領と会談をしてから、フロリダでトランプ前大統領と会うという派手な「平和ミッション」であった。オルバン首相は、各地で歓待を受けた。逆に、ウクライナ、米国、欧州各国の首脳たちは、「激怒」を表現した。EU高官も、ハンガリーが持ち回りでEU議長国を務めているとしても、オルバン首相は決してEUを代表していない、と火消しに必死であった。
このオルバン「平和ミッション」は、何を達成しただろうか。ハンガリー国内の内政から見た分析もありうるだろう。世論調査では、ハンガリーはロシア・ウクライナ戦争をめぐるウクライナの勝利の可能性にかなり悲観的であり、早期の終戦を望んでいる。オルバン首相としては、国民の意に沿った形の「平和ミッション」で、支持の向上につながるはずだ、という読みは、当然あるだろう。だが国際的な影響を全く度外視して無責任な行動をとった、とだけ断定するのは、いささか偏狭すぎるだろう。少なくともオルバン首相には彼なりの考えがあり、それは効果を持った。以下、大きな国際的な効果を確認してみたい。
「プーチンは止まらない」論の無効化
政策論の内容から言うと、オルバン首相はプーチン大統領との蜜月関係を見せつけることによって、「ウクライナの次は他の欧州諸国が侵略される」という議論に、大きな修正を迫ったと言える。「ロシアはウクライナを征服したら、他の欧州諸国を征服し始める、だから欧州諸国は最大限の努力でウクライナを助けなければならない」、という議論は、ゼレンスキー大統領が繰り返し用いている主張だ。これに次期EU外相の候補であるエストニアのカラス首相などが、強く同意している。ハンガリーはウクライナと国境を接しているので、「ウクライナの次に征服される欧州の国」の候補の一つだろう。しかしそのハンガリーが、現時点での停戦の可能性について、プーチン大統領と真剣に協議をするとすれば、それは「プーチンは止まらない」論に対する挑戦となる。もしロシアが、ウクライナ東部で止まるなら、当然他の欧州の国を侵略しない。オルバン首相は、いたずらに戦争を長引かせるよりも、プーチン大統領と対話をするほうが、欧州全体は平和になる、という強いメッセージを送った。(つづく)
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