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2024-05-24 00:00
潜水艦型ドローンの開発競争が始まるその原因は
宇田川 敬介
作家・ジャーナリスト
ロシアのウクライナ侵攻は、世界の軍事バランスを大きく崩したということはよくわかるのではないか。そもそも「ロシアは軍事大国であり、ロシアと戦争をしてもすぐに負けてしまう」というような日本のイメージは全く当たらないということが明らかになった。日本におけるこれらの軍事的な分析というのは、本当に当たらないということになる。さて、元々は、「核ミサイル」や「巡航ミサイル」などによって簡単にウクライナは負けてしまうと思われていた。当初はアメリカなどもゼレンスキー大統領の亡命と亡命政府の設置を考えていたという。しかし、その様にはならず、かなり「人的抵抗」というか「アナログ的な戦術」によって抵抗している。今年に入ってからは、ロシアの反撃などもあり一進一退となっているが、ロシア側の被害もかなり多いというように聞いているし、またロシア国内の製油所なども爆撃されて破壊されている状態になっている。この時に、使われているのが「ドローン」である。
ドローンは、戦場においていくつかのメリットが存在する。一つは、人が死なない(もちろん敵は犠牲が出るのであるが)ということであろう。味方の犠牲がないということは、かなり思い切ったこともできる。ある意味で「突撃」ができるというような言い方でよいのかもしれない。そしてもう一つは「安価」ということである。ミサイルは一発で数十億するということであるが、ドローンは、日本においても家電量販店で買える値段である。そこに爆弾やカメラを積んで爆撃したり、偵察をするということができるのであり、ミサイル一発で数万のドローンを飛ばすことができる。このドローンの攻撃によって、ロシアはかなりの被害がありまたウクライナ側にも大きな被害がでている。この事は、ニュースだけではなくSNSの動画などでもみられる。ドローンの良さは、他にも小型化で発見されにくいということがある。つまり「秘匿性が高い」ということであろう。この事は、そのまま潜水艦にも当てはまるということになるのではないか。
ドローンそのものの開発は、日本はかなり遅れていて、「周回遅れ」どころか「数週遅れている」というような感じであり、中国などが先んじている。元々は、日本のラジコンヘリコプターなどがあったが、2000年代初頭に、ヤマハの「ココム違反、ラジコンヘリ輸出事件」などがあり、そのような「日本の国家を裏切る行為」が、そのまま現在の日本と中国の差にでている。日本の会社の人々は、自分の数年間の懐具合と個人的な欲求で、将来に中国が日本を攻撃する武器や技術を渡してしまっているのであるから、本当に困ったものである。数年間の懲役で終わっているような話ではないはずだが、日本は本当に平和ボケな甘い国であると思っているのであろう。さて、そのドローンが「潜水艦」になる。その開発競争が行われている。
戦術という意味では「精密射撃」「破壊力が大きい」ということが本来の攻撃の最も大きなものということになる。そのような意味で世界を震撼させたのは、大東亜戦争時に日本が行った「特別攻撃」という手法であり、人が爆弾を抱えて飛行機ごと体当たりをするというようなことは、防空技術を飛躍的に上げるとともに、世界の武器の向上に繋がった。日本は、ある意味で技術力と胆力は間違いなく当時から世界一であったということであろう。その日本の特別攻撃によって開発されたのが、一つでは誘導ミサイルであり、もう一つは、防御のかなめとして存在する「イージスシステム」である。
しかし、それをかいくぐって小型の爆弾を積んでゆくということになれば、ドローンは非常に有効な手段ということになり同時に、水上ドローンや水中ドローンということになる。実際にウクライナにおいても、序盤で活躍した黒海艦隊は、ミサイル攻撃によって巡洋艦のモスクワが沈没し、その後揚陸艦や潜水艦などが、ウクライナの発進した水上ドローンなどによって沈没している。その有効性は、かなり高いことがウクライナによって立証された形だ。この事によって黒海艦隊は湾から出ないかまたは撤退する以外には手段がなくなってしまっている。
このような戦況を見て、各国が水中ドローンを開発することは間違いがない。一方で、開発が進むということは、当然に、それに対する防御も進むということであろう。「カメラによって誘導された体当たり型潜水ドローン」は、実際にソナーで運航している潜水艦にとってはかなりの脅威になると考える。徐々にそのような戦争に代わってゆくことになるのであるが、それを開発している中国から日本はどのように日本を守るのか。
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