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2024-05-13 00:00
もうすぐストックホルム合意10年ですが…
荒木 和博
拓殖大学海外事情研究所教授
宣伝のような話ですみません。今から9年前に『北朝鮮拉致と「特定失踪者」』という本を展転社から上梓しました。10年前の5月29日に発表された「日朝ストックホルム合意」の直後から1年余りの論考をまとめたものです。まもなく5月29日ということもあり、マスコミの皆さんからも色々問い合わせがあるため改めてめくってみて、色々なことを思い出しました。当時感じた懸念は大体当たっていました。「ストックホルム合意10周年」で記事を書かれる方はぜひお読みいただけると幸いです。リアルタイムで書いたものなので私の判断の間違いも含め多少は参考になると思います。
それにしてもあれは何だったのでしょう。平成14年(2002)の平壌宣言もそうですが北朝鮮にとって「合意」というのは相手に守らせるものであって自分が守るものではありません。もし北朝鮮に守らせようとするのなら物理的な強制力が必要です。北朝鮮の遵法意識に期待するなど八百屋に行って鰻を求めるようなもので、もし本当に鰻を出させようとするならピストルを突きつけて取りに行かせるしかありません。
そしてその合意がまだ有効であるとの前提で時間だけが過ぎています。総理初め言葉だけは「時間に限りがある」とか言っていますが、それは自分の任期のことではないか、任期が終われば責任がなくなると思っているのではないかとすら感じられます。ご家族にとっては人生の最後まで移動も引退もありえないのでです。
見たくないものは存在しないことにするというのは自分自身の意識にもありますから軽々に他人の批判はできません。でも拉致問題に限って言えば、それでは物事は前に進むどころかさらに傷口を広げることになりかねません。ストックホルム合意10年で、せめてそういうことを考え直すきっかけになればと思う次第です。
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