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2024-04-13 00:00
フィジーに警察官を置き中国法を適用する中国の「属国支配」
宇田川 敬介
作家・ジャーナリスト
「債務の罠」とは「債務トラップ」とも呼ばれ、主に開発途上国(債務国)において、二国間の国際援助等の債務により、債務国の政策や外交、インフラ運営などが支援国(債権国)の拘束を受けることをいう。簡単に言えば、融資を受けた国が借金漬けに陥るもので、特に中国のシルクロード経済圏構想の「一帯一路」の一環として、中国からの融資が一部の途上国で返済不能に陥り、2018年頃から「借金漬け外交」として世界的に注目されるようになった。さて、そしてそのようになった国がどのようにその後展開するのかということが問題になるのである。債務の罠をかけて、借金でがんじがらめになった国の場合、結局は「手放して借金のカタになるもの」というのは、国家の要素の中の3つしかない。つまり「国民」「領土」「主権」である。
このうち「国民」を手放すということは、つまり「国民をその債権国に対して奴隷として使役させる」ということであり、本来は国際法の人権条約に関して違反ではあるが、そのような状況にしかならないということになる。もちろん、「科学技術」や「何らかの特殊能力」ということを売るということも考えられ、その人材を引き渡すということもあるのかもしれないが、しかし、資本主義委の国の場合は、それらの技術や特殊能力、生産力などは、すべて個人の資産であって、国家の資産ではないので売ることはできないということになるのである。「領土」を売るということは、基本的に過去に何回も行われている。例えば、アメリカは旧ロシアよりアラスカを買っているし、また条約によって、日本でも千島と樺太を交換するなどのことが十分にあった。中国による債務の罠ということに関しても、例えばスリランカのハンバントタ港などは、領土というよりは「港という機能」を持っているということになっているが、しかし、港の土地や海水面を差し出しているのと同じである。このほかにも、例えばコンゴ共和国の鉱山や、チベットの岩塩や水(チベットを国家の債務の罠というかどうかは難しいところではあるが)なども、その内容になっているということになる。
そして最後は主権である。主権の場合は、基本的に「法律の独自性」「通貨・経済の独自性」ということと「国民の人権」ということが問題になる。通貨や経済ということになれば、なかなか難しいところになるのかもしれないが、しかし、借りている金額が大きいからと言って、その通貨や経済をすべて中国に引き渡す必要はない。特に徴税権などを出す必要はないということになる。しかし、それだけではなく「法律」つまり「警察権」を引き渡してしまうということが往々に行われているということになるのである。フィジーは、軍事独裁のクーデター政権があり、そのクーデター政権は、西側諸国から非難されていた。そこで中国に近づいたのであるが、そのことによって債務の罠にかかったということになる。
そして警察協力条約がある。しかし、そもそも「警察協力」があっても、「捜査権」は存在しないはずだ。しかし、「債権国」であるということから、好き勝手やっているということになる。そのことが、結局はフィジーの自国民を迫害する結果になっているということになるのである。まさに「法律」や「刑法で罰せられる」ということの「自主性」という事、「国家の独立性」が完全に否定されてしまっており、そのことによって、国家が主権を失いつつあるということになる。まさに、「主権を失った属国になった」ということになるのだ。バイニマラマ前政権は、それでも軍事独裁ができればよかったが、その次の政権になれば、そのようなことまでする必要はない。そこで勝手なことをしている中国の警察に退去命令が出るということになるのである。さて、今後は「中国が一度手にした利権を手放す」などということはない。つまり、また脅迫をしながら、秘密警察のように隠れた何かが行われ、その後うまくゆかなければ実力行使をするということにある。まさに「次の陰謀」が始まるところということが言えるのである。
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