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2024-03-09 00:00
死亡説が出る中国の元大臣に何があったのか
宇田川 敬介
作家・ジャーナリスト
中国の外務大臣がいきなりいなくなり、また、国防大臣もいなくなった。これに対して、中国では特に大きなマスコミの報道もなく「いきなりいなくなった」というようなことになっている。秦剛外務大臣の場合は外交日程が詰まっていたので王毅国務委員がそのまま外務大臣の代行を行い、そして外務大臣に就任した。一方国防大臣は、キッシンジャーがアメリカから訪中した直後に姿を消した。その後しばらくは、国防大臣が不在のまま推移している。
さて、本来であれば、外務大臣にしても、国防大臣にしても「不在」とか「音信不通」ということになれば、かなり大きな問題になるはずだ。しかし、中国では「不在」というだけでそれ以上のことは何も言われずにいる。もちろん中国の国務院などは大騒ぎになったものと思われるが、残念ながら一般では、全く問題にならないというような状況になっていたのである。同時にマスコミも何もそれをあまり問題視しなかった。
今回の陰謀は「何かが起きた」事ではなく「何も起きなかった」ということなのである。日本で同様のことが起きたと考えてみよう。例えば現在の外務大臣は上川陽子議員である。岸田内閣がいかに不人気であったにしても支持率が20%を割っているにせよ、突然に上川陽子外務大臣が音信不通になり、公式の会議に出席しなかったり、あるいは行方不明になっていれば、当然にそのあとを追うなど一日中大騒ぎになる。間違いなく、ワイドショーなどは一日中上川大臣のプライベートから、その犯人の予想まで、場合によっては全く関係ないのに交友関係や子供のころの話まで調べるということになる。しかし、中国では、報道で少し扱っただけで、何もしなかった。今回も「秦剛氏は辞任、他の7人は罷免」ということになった。外務大臣の後任の発表はなく、王毅政治局員の兼任が一緒に行われるということになる。しかし、「腐敗の操作を行っている」というだけで、それ以外のことはまったく報道はしなかった。
陰謀といえば「何かがある」と思いがちだが、何もなかったということが大きな問題になることもある。法律用語では「不作為の作為」というものがあるが、実際にはまさにそのようなことになる。マスコミは当然に本来であればその部分を大木っく取り上げるはずなのであるが、しかし「政府発表」以外は何も報道しない。それが中国なのである。当然に中国または中国のマスコミ報道はそのような「政府のコントロール下にある」ということがあげられ、同時にそれは「必ず何らかの仕掛けがある」ということになる。そのこと自体が陰謀であるということを、しっかりと解説できる陰謀論者は、今のところ日本にはいないようである。
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