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2007-09-14 00:00
日豪戦略的パートナーシップと東アジア共同体
石原雄介
大学院生
近年、日豪関係は急速な深まりを見せている。折しも、先週アジア太平洋経済協力会議(APEC)がシドニーで開催され、閣僚会議などの全体会合に併せて、日米豪首脳会談(9月8日)と日豪首脳会談(9月9日)が行われた。日米豪首脳会談では日米豪三国間協力の強化が確認され、また日豪首脳会談でも、日豪両国のパートナーシップの深化に向けた行動計画が合意されている。こうした日豪をめぐる国際関係は、今後、どのような方向に進むことが望ましいのか。日豪関係は通常、次の3つの視点から解釈されることが多い。
第1は、アメリカ主導のハブ・アンド・スポークス・システムの発展として、日豪関係を位置づける見方である。オーストラリアと日本は、アメリカを共通の同盟国とし、民主的価値観も共有している。こうした共通性は、東ティモールでの協力(1999年~)、イラク・サマーワにおける治安維持・復興事業おける共同オペレーション(2005年~2006年)、ジャワ島中部地震における初動対応での協力(2006年)といった共同行動を通じ、具体化されてきた。
第2は、日豪・日米豪関係を、対中バランシングの手段として位置づける見方である。日豪間の公式文書に、中国に関する言及は見られない。しかし、メディアの論調やアカデミックな場での議論をみても、日豪・日米豪関係を、中国と対抗させて考える視点は少なからず存在する。例えば今回のAPECでも閉幕後の記者会見において、ハワード豪首相が記者団からの中国と日米豪との関係をめぐる質問攻めに手を焼いたことは周知の通りである。
第3は、アジア太平洋地域における日豪協力という視点である。これまでの日豪間で合意された各種文書の中にも、日豪関係をアジア太平洋地域の中に位置づけようとする努力が見受けられる。例えば今回の日豪首脳会談を受けて発表された行動計画を見ると、日豪が共通利益を見出しつつ、行動しうる領域がリストアップされている。この中には、相互依存の深化に対応するための非伝統的安全保障分野を含め、アジア太平洋地域の安定化のための措置について言及されている。
私としてはこの第3の視点を重視する立場に立ち、日豪関係がアジア太平洋地域、とりわけ東アジアにおける地域主義と連結する可能性に着目したい。むろん第1や第2の視点も無視できない重要性を持つが、東アジアにおける地域協力の進展という現状を視野に入れれば、日豪両国が、戦略的なパートナーシップを結ぶことにより、東アジアにおける地域統合と互恵的な関係を模索することが、同地域の将来的展望にとってプラスではないかと考えるのだ。さらにいえば、目下「機能主義」的な性格が強い東アジアの地域協力のあり方を質的に向上させる可能性をも秘めていると考えたいが、果たしてそれはうがちすぎだろうか。
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