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2007-09-08 00:00
連載投稿(2)日本は近隣外交の原点に立って韓国大統領選を注視せよ
大江志伸
読売新聞論説委員
財界出身の李明博氏(65歳)は「韓国初のCEO型大統領」を目指すという。経済人としては一貫して成功者の道を歩んだ。現代財閥の中核企業「現代建設」に入り、弱冠36歳で社長になった。財閥創業者の故・鄭周永会長にかわいがられ、多くの企業経営をてがけた。その辣腕ぶりは「野望の歳月」としてテレビドラマ化された。筆者がソウル駐在中のことだった。92年から政界に転じ、国会議員2期とソウル市長を歴任し、都市改造に腕を振るった。北朝鮮への融和政策や国内の歴史見直しなど理念先行の盧武鉉政権とは対照的に、経済実績や実務を重視する姿勢をアピールしてきた。
筆者が見る限り、これまでのところ李明博氏は、自身の対日観について詳述したことはない。だが、内政同様、堅実かつ現実的なものになると見てよさそうだ。韓国の中央日報社と韓国議会発展研究所が共同で行った「大統領選挙候補の資質調査」からも、そうした傾向が読み取れる。その内容を簡単に紹介しておこう。李明博氏は各調査項目に次のように応えている。
質問「朝鮮半島周辺の強国に対する外交力の配分は?」
答え「米国50%、中国20%、日本20%、ロシア10%」
質問「FTA締結交渉はどの国の順序で行うか」
答え「欧州連合→中国・日本→インド」
質問「親交のある海外指導者は?」
答え「マハティール前マレーシア首相、リー・クアンユー元シンガポール首相、安倍首相」
世界を飛び回ったビジネスマン時代に培った国際感覚は堅実であり、バランスある近隣外交の展開を予感させる内容である。李明博大統領誕生に対する日本側の期待はただでさえ高い。李明博氏は日本統治時代末期の1941年、大阪で生まれた。日本語と英語が堪能で日本には親近感を持っているとされるからだ。しかし、日本側が留意しなければならないのは、現代韓国でも「親日派」は「売国奴」と同義語であり、「知日派」というレッテルであっても政治資産としてはマイナス要因となることだ。前回の大統領選挙で北朝鮮は、盧武鉉左派政権の誕生、ハンナラ党の保守政権復活阻止のため、李会昌候補の「親日経験」を罵倒し続けた。今年12月の大統領選挙は前回以上に、保守と左派の天下分け目の決戦となる。目下、断然優位に立つ李明博氏が自身の対日観について詳述しないのは、それなりの深謀があってのことだろう。
未来志向の日韓関係を再起動するには、韓国政治に潜む微妙なヒダを、日本側が理解する必要がある。小泉政権にそうした配慮は皆無に近かった。韓国の大統領が代われば日韓関係は自ずと好転するとの論調もあるが、そうではない。日本に求められるのは、相互理解という近隣外交の原点に立って韓国大統領選の展開を注視することである。(おわり)
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