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2023-10-08 00:00
新自由主義経済を押し付けた主流派経済学者たちとそれを受け入れた政治家たち
古村 治彦
愛知大学国際問題研究所客員研究員
平成に入ってから、日本では「改革!改革!」の掛け声が響き渡った。これまでの非効率な日本式のやり方ではダメで、アメリカのような国にならねばならない、という論調が席巻した。アメリカやイギリスのような二大政党制になって、重要なことを決めやすい政治を行うべきだということで、小選挙区制と比例代表を並立させる現行の選挙制度(定数などは異なる)を導入した。経済では、市場に任せればうまくいくということで、規制緩和と民営化、雇用の流動化などが進められた。
デフレが進行し、その結果が成長なき平成時代30年となり、日本の中間層は減少し、何より、少子高齢化が促進された。就職氷河期世代、団塊ジュニア世代の被った被害は大きく、彼らが前の世代のように生活でき、結婚し、子供を産み育てていればと思うけれども、もう後の祭りだ。日本のアメリカ化、アメリカ従属化を進めた小泉純一郎と司令塔、実質的には小泉よりも実力者だった竹中平蔵の罪は万死に値する。生まれてくるはずだった日本人を生れまなくし(その数を考えると、虐殺者という言葉さえも使いたくなる)、日本を現状に追い込んだことの罪は万死に値する。
ジョー・バイデン政権は、発足後、新型コロナ対策を進めながら、もう1つ産業政策を進めようとしてきた。産業政策とは、国家がある産業分野の成長を促し、あるいは産業構造を変化させる政策である。アメリカで言えば、クリーンエネルギー部門の成長を促そうとしているし、自動車産業ではこれまでのガソリン車から電気自動車への転換を促そうとしている(それに不安を持っている自動車産業労働者たちが全米規模でストをしている)。こうした産業政策の本家本元は日本である。何度も書いているが、チャルマーズ・ジョンソンが『通産省と日本の奇跡』(1975年)で明らかにした。その政策を最も忠実に行っているが中国である。中国の成功を見れば、産業政策の有効性は確かだ。アメリカも、「中国もやっている、中国に後れを取ってはいけない」ということで産業政策を行っているが、政策実行の効率性では中国には及ばない。日本は日本らしい、日本型資本主義(コーポラティズムに近い)で繁栄したが、1980年代からのに米経済摩擦によって、アメリカに骨抜きにされ、破壊された。日本はどこまで行ってもアメリカの属国である。戦争でアメリカに惨敗を喫した敗戦国である。日本に関しては、アメリカはコントロールすることができる。しかし、中国はそういう訳にはいかない。
残念なのは、日本はアメリカの属国として、本格的にアメリカされてしまって、経済は衰退し、もはやそれを取り戻すことは困難である。後は、これまでの資産を食いつぶしながら、衰退のスピードにブレーキをかけながら、ヨーロッパの元世界帝国(スペインやオランダなど)のようになっていくしかない。しかし、より懸念されるのは更に衰退していくことだ。日本人が出稼ぎに行き、東アジア、東南アジアの国々から、「日本の労働力は安くて優秀だ」ということで生産拠点づくりをされることだ。それはそれでありがたいことだが、数十年前に日本が東南アジアでやったことをやられるというのは、「因果は巡る糸車」ということになる。しかし、その頃には日本の労働可能人口は減っていて、日本は魅力的な投資先ではなくなっているかもしれない。どこまで行っても先行き暗い話になってしまう。
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