ホーム
新規
投稿
検索
検索
お問合わせ
本文を修正後、投稿パスワードを入力し、「確認画面を表示する」ボタンをクリックして下さい。
2023-10-03 00:00
「安米経中」政策 ―卑怯なコウモリ―
チョ ジョンウォン
早稲田大学国際教養学部学生
「歴史は繰り返す」という言葉の通り、米ソ冷戦が終わった30年ぶりに国際社会は新たな冷戦の幕開けを目撃している。2018年の米中貿易戦争から始まった米中間の覇権競争は、2022年ウクライナ戦争の勃発により、ファイブ・アイズと北大西洋条約機構(NATO)中心の親西側諸国側と集団安全保障条約機構(CSTO)と上海協力機構(SCO)中心の反西側諸国側の間の冷戦の形態を取るようになった。今までの米中覇権競争の竜巻の中で韓国政府は、中立的なスタンスと外交を志向してきた。韓国は政治と安保の方面では親米国家として米国に依存してきた一方、経済の方面では中国に大きく依存してきた。このような外交の基調を短時間で韓国が自ら克服するのは不可能に近い。韓国政府はどちらかの国の肩を持つことで損をする状況を避けるため、中立の立場を固守し、米国との安保協力関係を維持すると同時に中国との経済協力関係も維持するいわゆる「安保経中」政策を打ってきた。米国との安保協力と軍事同盟がもたらす対北朝鮮抑止力と対中輸出入がもたらす経済的利益の両方を手に入れようとする韓国政府の考えは理解できる。しかしながら、二兎を追う者は一兎をも得ずになる。米中覇権競争が新冷戦に拡大しつつある現在では、「安米経中」のような中立的な外交政策は危険であるのはもちろん現実的に不可能であると思う。
本格化されている新冷戦で中立的な外交政策を維持するのは外交的な孤立に繋がるリスクがある。超大国を敵国に置かなければならない今の極限の対立では、信頼できるミドルパワーの国家を味方として確保することが重要であると考えられる。今後対立がより激しくなるとすれば、米国は中国に確実に敵対する国家だけを、中国は米国に確実に敵対する国家だけを連れていく可能性が高いと思える。超大国は確実に自分の側に立つ国家を好むし、イソップ寓話の「卑怯なコウモリ」のコウモリのように、中立にかこつけた曖昧な態度で利益を取ろうとする国家を嫌うと考えられる。代表的な例にはハンガリー首相オルバーン・ヴィクトルがある。ヴィクトル首相は自国優先主義の政策に基づき、必要によって親米態度と反米態度を示している。ハンガリーは、NATOとEUに加盟して安全保障と経済の利益を得ると同時に、反米発言と親中・親露発言を通じで中国からは経済的な利益を、ロシアからは天然ガスをもらっている。特にウクライナ戦争に関しては、エネルギー危機を理由に対露制裁に反対し、賛成意見に変わるために膨大な支援金を要求したことがある。その上、ハンガリーはトルコと共にウクライナ・フィンランド・スウェーデンのNATO加入に反対したこともある。米国をはじめとするNATO加盟国にとってハンガリーの行動は目の敵であるが、現在はウクライナ支援で気にする余裕がない。自国優先主義に陥没されているヴィクトル首相は、自らハンガリーの国際的な孤立を招いている。韓国も同じく曖昧な中立スタンスである「安米経中」政策を続けることで、どちら側にも信頼できない国家として認識され、国際的に孤立される恐れるがある。
ニッコロ・マキャベリの『君主論』には、「決断力のない君主は、多くの場合、当面の危険を回避しようとして中立を選ぶ。そしておおかたその君主は滅んでしまう」と書かれている。第一次世界大戦と第二次世界大戦で中立の立場を保った結果、ドイツに襲われたベルギーや中立国を表明したが結局日本に併合された韓国帝国の例を見ても、紛争の中での中立の立場は非常に危険であり、いい結末にはならないと歴史が証明している。永世中立国または米国や中国ほどの超大国でなければ、中立の立場を保つのは不可能である。実際に中立政策を固守してきたフィンランドは既にNATOに加盟したし、同じく中立の立場を示したスウェーデンのNATO加盟も進んでいる。その上、中立国の代表国とも言えるスイスすら、ロシアに対してスイス国内の銀行のロシア資産を凍結する経済制裁を行っている。今後新冷戦が激化する場合、米国と中国が、中国と日本の間の橋頭堡として地政的に重要で戦略的な要衝の地である韓国を、中立国として見逃すはずがない。すなわち、韓国は近いうちに確実なスタンスを決めなければならない状況になると思う。
右翼政党が執権している現在のユン政権は、左翼政党が執権した前のムン政権に比べ、親米・親日の傾向が見られる。2023年5月の米韓ワシントン宣言や2023年7月の日韓首脳会談や2023年8月の日米韓首脳会談などで見られるように、ユン政権は「安米経中」政策から脱皮しようとしている。上述したように中立的な外交の基調が危険であるし現実的ではないことを考えると、このような外交政策の転換は望ましいと思う。もし次の大統領選挙で政権交替が行われて親中の傾向の左翼政党が執権するようになるとしても、「安米経中」に戻らないのが重要であると考える。
投稿パスワード
本人確認のため投稿時のパスワードを入力して下さい。
パスワードをお忘れの方は
こちら
からお問い合わせください
確認画面を表示する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会