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2023-09-12 00:00
インドの人口動向が世界に与える影響
真田 幸光
大学教員
今年に入って、「インドは既に中国本土を抜き、人口世界一となった」と報告されています。そしてこの間、長く人口世界一となっていた中国本土は2022年に約60年振りの人口減に転じています。こうしたことから見ると、「世界の人口動態は歴史的な節目を迎えた」といった見方も今年に入ってから出始めました。こうした見方を裏付けるかのように、国勢調査と人口動態を専門に扱う、世界的な独立機関であるワールド・ポピュレーション・レビュー(WPR)は、「インドの人口は2022年末時点で14億1,700万人となっている」と発表、これに対して、中国本土政府は、昨年末の人口が14億1,200万人となったと発表しており、こうしたデータからすると、インドが中国本土を既に約500万人上回ったことになります。
人口統計は、あまり大きくぶれることはありませんが、中国本土の人口は、想定されていたよりも少し早く減少し始め、前年対比で85万人減少したと報告されています。毛沢東時代に見舞われた大飢饉の最終年である1961年以来の人口減少となったのであります。これに対して、インドの人口は今も増加しており、更に人口の半分が30歳未満となっていることから、「潜在的な労働者の数、潜在的な消費者の数」が多く、これを根拠とすると、「インドは世界で最も急成長を遂げるであろう大国になっている」とも言えましょう。更に今後、産業の中心が、農業から製造業やサービス業へシフトが進むと見られており、インドで所謂、「人口ボーナス」を最大限に活用できるようになる可能性もあります。そして、実際に、インドのモディ政権は労働市場に毎年加わる数百万人を受け入れる雇用を創出し続ける為、新産業化に腐心し始めています。非常に注目されています。
但し、「インドに見られる南北の貧富の格差、州の貧富の格差、非公式に残っている身分による貧富の格差、そして都市と農村に於ける貧富の格差による社会的混乱の可能性」「社会インフラの未熟さ」「国民の中にある教育水準格差」などが経済発展の足かせの一つとなっていく可能性は存在しています。また、インドは10年毎に国勢調査を行いますが、新型コロナウイルス大流行で人口調査が遅れていたこともあり、国勢調査のデータが2021年に公表されておらず、そもそものデータの信頼性は一応、留意しておく必要がありましょう。更に、WPRは少なくとも2050年までは人口が増え続けると予想していますが、インドの人口増加ペースは鈍化している模様であり、これも留意しておくべきでありましょう。
ところで、最後に一点、筆者の認識しているところでは、モディ首相は大変やり手の政治家であり、「国連の機能不全を意識、その国連でのインドの影響力を強めていく為に、人口の多い他の新興国と連携の可能性も含めて、安全保障理事会の常任理事国制度の改善を求め、それが受け入れられるように、脱退を武器にしながら、国際機関である国連に揺さぶりをかけるのではないか」との見方も出ており、更には、英国系ではないのに、インド系のスナク氏を首相に押し上げてきた英国が、このインドと連携して、「新たな国連、新たな国際機関を再構築、それをリードし、英国の国際秩序に於ける立ち位置を担保しようとしている」との見方も出てきています。
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