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2007-09-05 00:00
連載投稿(1)なぜ日本は実力以下に見えるのか
河東哲夫
Japan-World Trends代表
去年のベネチア国際映画祭でグランプリをとったという中国の映画「長江哀歌」を観にいった。ポスターの遥大な景色に惹かれて行ったのだ。三峡ダム建設現場を舞台にした現代の人間模様がテーマの映画なのだが、建設労働者とその周辺の人達の貧しさには驚いた。もっとも、人情の機微は日本とあまり違わないのだが。
それで僅か1000円で中国の深奥まで旅行した気になって夜の銀座に出ると、そこにはかつての派手々々さはもうなく、落ち着いた洗練された繁栄を見せる点ではヨーロッパの都市なみだ。日本人の生活も随分良くなってきたな、と自己満足に浸る。夜飯はウェンディーズでハンバーガーをぱくついたのだが、これがダブルサイズで450円、道路の向こう側のマクドナルドのビッグマックはちょうどセールで何と200余円。ほとんどタダの感覚だ。
これがモスクワでは、普通のスパゲッティ・ミートソースが4000円、ロンドンではホテル一泊7万円が当たり前――ハンバーガーを食べながら、日本での物価が安いのもどこかがおかしいからなのではないかと気がついた。円の実効レートはプラザ合意前の水準にまで下がってきたというのに、デフレが続いている不思議さ。街の景観も住宅も良くなったのに、円が下がっていく不条理さ。そして海外では、日本が益々小さな存在になっていく・・・。
インフレ率を勘案しない名目成長率では、最近の日本は主要国に比べて哀れなものだ。2000年から2005年にかけて日本の名目GDPは2.5%下落したが、米国は26.5%、ドイツは47%、英国は52%、フランスは60%、中国、ロシアに至ってはそれぞれ207%、294%という成長を示している。これが物価の差となって現れているのだ。いや、それは物価の差だけではない。かつては世界一だったODA供与額でドイツ、英国、フランスにも抜かれつつあるという情ない状況も、一つには日本の名目GDPが伸びていないことによる。(つづく)
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