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2023-05-23 00:00
韓国の貧困問題について
真田 幸光
大学教員
最近では、世界各地で、「貧富の格差からくる貧困問題」が拡大していると私は認識しています。即ち、「多くの人が貧しい」のではなく、「一部の人が貧しい、格差を伴う貧困」であり、更に、「その一部の人の比重が全体の10%を超えるような状況になっている国が増えている。」ことに大きな問題があるように思います。何故ならば、こうした状況は、「格差に伴う貧困により、社会不満が溜まり、社会分裂の危機へと発展していく可能性がある。」と考えられるからです。
そして、こうした状況は韓国にも見られています。韓国国内の情報によると、「韓国の単身世帯の半数近くが貧困状態に置かれている。」としています。特に独居老人は10人中7人が貧困状態であり、一人暮らしの女性の貧困率は男性よりも高かったとも報告され、水面下での深刻な問題となっているようです。こうした情報は、韓国保健社会研究院が発表した「2022年貧困統計年報」によって示されており、これよると、2020年基準で単身世帯のうち、可処分所得が中位所得(全世帯を所得順に並べた場合の中央値)の50%に満たない世帯の割合(相対的貧困率)は47.2%になっています。これは、全人口の相対的貧困率15.3%に比べて3倍以上高い数値であります。
可処分所得とは、ご高尚の通り、個人所得(勤労・事業・財産・公的移転所得)のうち税金・保険料などを除き、消費や貯蓄を自由に出来る所得を言い、生活の余裕度を示しているものです。こうした中、単身世帯の貧困率は2016年の54.0%から2017年52.1%、2018年52.7%、2019年51.8%、2020年47.2%へと減少傾向にはありますが、未だに一人暮らしの人のうち、2人に1人弱は経済的困窮に直面しています。また、一人暮らしの男性よりも女性の方が、歳を取るほど貧困率が高くなっており、2020年基準の女性単身世帯の貧困率は55.7%で、男性の34.5%より高くなっています。また、65歳以上の高齢単身世帯の貧困率は2020年基準で72.1%と報告されています。次いで50~64歳(中年層)38.7%、19~34歳(青年層)20.2%、35~49歳(壮年層)19.5%の順の貧困率となっています。女性高齢者の場合の貧困率は43.9%で、男性高齢者の貧困率32.7%より高いこと報告されています。
韓国の格差拡大の中での貧困問題はまだ顕在化してはいないものの、韓国のアキレス腱となっているようです。今後の動向をフォローしたいと思います。尚、問題は韓国だけではなく、日本も心配であることは頭に置いておきたいと思います。
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