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2023-03-09 00:00
「与える」方が偉いことに気の付かない「与えられる」人
伊藤 洋
山梨大学名誉教授
「クーデターを主導したミャンマー国軍のミン・アウン・フライン総司令官から、麻生太郎元首相と日本ミャンマー協会長の渡辺秀央元郵政相が名誉称号と勲章を贈られた。有権者に選ばれた政権を武力で転覆させ、抗議する市民を多数殺害している人物からの表彰を受け入れるとは、常識的感覚からして信じ難い。苦境にあるミャンマー市民に理解される振る舞いだろうか」(2023/02/24東京新聞)
さすがに手厳しい批判記事である。一般に「表彰」とか「叙勲」とかいうものは、その拠って立つたてまえに反し、「受章者」や「受勲者」より、「授与者」として「勲位」や「章」や「賞」をさずける方が上位に居るものである。だから受ける人がこれを名誉と思い、謹んでお受けするのでもある。記事中の麻生氏や渡辺氏などお二人はミン・アウン・フライン=ミャンマー総司令官から「勲章」を押し頂いてさぞや誇りに思われたことと推察する。
しかし、他方日本政府のスポークスマンである松野博一官房長官は、「ミャンマー国軍によるクーデターから2年が経過したことについて、『軍は国際社会の声に聞く耳を持たず、暴力行為がやむ兆しがない。悪化の一途をたどる情勢を深刻に懸念する』と述べ『ミャンマー国民や国際社会が受け入れられる平和的な問題解決に取り組むよう、引き続き強く求める』と語った」(2023/02/01時事通信)。つまりどうも日本政府はミャンマーの軍事政権に対してよい評価を与えていないように見受けられるのである。
また、ミャンマーの人権団体によると、クーデター後の国軍の弾圧で死亡した人は3000人を超え、拘束された人は約2万人にも上るという。どうみても、麻生・渡辺両氏がいただいた「勲章」は胸を張って見せびらかせるような代物ではなさそうである。
いな、それ以上に、「ミャンマー出身のナンミャケーカイン京都精華大特任准教授は『蛮行に走る国軍が与えた称号に名誉などあると思うか。両氏はミャンマーで(第2次世界大戦のミャンマー占領時の首相)東条英機と肩を並べて伝えられていくだろう』と非難する。クーデター前、与党<国民民主連盟(NLD)>政権下で経済開発を担当し、渡辺氏とも交流したチョーワンナ氏は『彼は両国の友好関係を壊した。ミャンマー国民の苦難を顧みない日和見主義者として歴史に残るのは間違いない』と切り捨てる」(2023/02/25東京新聞)といよいよもって手厳しい。
麻生氏らの評判はすこぶる芳しくないように見えるのだが、これでもご両人は受けるのであろうか?続報を知りたい。
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