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2023-02-21 00:00
ダモクレスの剣か?ただの気球か?
伊藤 洋
山梨大学名誉教授
「中国は5日に見込まれていたブリンケン米国務長官の訪中により、対米関係安定化への糸口を見つけたい考えだった。米本土上空に飛来した気球を巡って中国側は早期の幕引きを図ったが、もくろみは外れ、ブリンケン氏の訪中延期によって米中の歩み寄りの機運は大幅に後退することになりそうだ。」(「対米関係安定化に冷や水 早期幕引きのもくろみ外れ―中国」2023/02/04時事通信)。
音もなく青空に不気味に光る白球がのっそりと流れてくれば誰でも仰天する。まして、疑心暗鬼が地球上を覆っているこの時代、肝を抜かれるのは無理もない。ましてやこれが、アメリカ合衆国にとって「ライバル国?中国」発と聞けば、「スワッ」と勇み立つのは当然だ。それでも落ち着いて白球が大西洋上に移動するまで待ってから、これ見よがしに軍用機から機関銃ではなく「ミサイル」で撃ち落としたそうだが、いささか「牛刀をもって鶏を割く」の図に近い虚々実々の光景だ。まことにどうも今の世界政治を象徴しているようでやっぱり悲しくなる。
この図、現代版「トロイの木馬」か、あるいは「ダモクレスの剣」のようでもあり、うっかり想定外の風に流されてはるばるアリューシャンの島々を飛び越えたという中国の説明はあまりにも子供だましで説得力に欠ける。他ならぬ、我ら日本人こそ、あの太平洋戦争の折もおり、気球何百個に爆弾を載せてアメリカに向けて放ったという前科がある。あまり他人様の愚考をなじる資格は無いのだ。
かくなる上は、アメリカとしては撃ち落とした気球の中身について、当事者たる中国の立会いも求めて解剖し、世界に公開すべきである。中国として邪心が無いのであればこれを拒む理由はあるまい。結果、言うとおりに中国「民間企業」の「気象観測バルーン」だというのなら、ただただメンツにこだわるのではなく、世界の空から見てきたすべてのデータを公開し、そこから得られる知見を開陳してもらいたい。それが騒ぎを起こした者の「オトシマエ」というものであろう。
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