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2023-01-25 00:00
拉致問題は安全保障問題ではないのか
荒木 和博
特定失踪者問題調査会代表
12月16日、政府は「国家安全保障戦略」・「国家防衛戦略」・「防衛力整備計画」のいわゆる「安保3文書」を決定、発表しました。
わが国の国防体制がより強固なものになるのはもちろん歓迎すべきです。反対している国内外の顔ぶれを見ると特にその感を強くします。しかし、この3文書の中で拉致問題についての言及は私が気づいたところでは「国家安全保障戦略」の以下の部分だけです。
「北朝鮮による拉致問題は、我が国の主権と国民の生命・安全に関わる重大な問題であり、国の責任において解決すべき喫緊の課題である。また、基本的人権の侵害という国際社会の普遍的問題である」
「とりあえず書いておきますよ」、という感じで「喫緊の課題」と言う割にはその後の「国家防衛戦略」にも「防衛力整備計画」にも言及はありません(あるいは私が読み落としているのでしょうか。であればお詫びしますが)。つまり、具体的にどうやって「解決」するのかは全く書かれていないということです。もちろん、「解決」が何を意味するのかも書かれていません。
なるほど北朝鮮の核もミサイルも重要な問題でしょう。しかし、それらはまだ被害が出ているわけではありません。拉致問題は被害が出て、その被害が継続しており、被害者は北朝鮮にいるのです。国家安保戦略の外の問題だとするのなら、誰が、どうやって被害者を取り返すのか明らかにしなければならないはずです。外務省の交渉に全てを委ねるのか、別の誰かが交渉するのか。本当にそれで「全拉致被害者の即時一括帰国」が実現すると思っているのか。
現場との齟齬もあるでしょうし、これから様々な調整をしていかなければならないとは思いますが、ともかく国家安保の方針を打ち出したことについては多としつつ、私たちの立場からすれば「結局政府に任せることはできない」という思いを強くした次第です。
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