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2022-12-23 00:00
オラが村にミサイル防衛システムがやってくる
伊藤 洋
山梨大学名誉教授
「日本を狙う弾道ミサイルを迎撃する『弾道ミサイル防衛(BMD)システム』に関し、政府が2031年度末までに目指す増強計画の概要が4日、判明した。地上の迎撃網を強化するため、新たに陸上自衛隊の14の地対空部隊にミサイル迎撃能力を付与。特に中国に備える南西諸島を重視し、沖縄県の6部隊、鹿児島県・奄美大島の1部隊に配備する。既存の沖縄本島にある航空自衛隊の4部隊と合わせ、3倍近い計11部隊の態勢となる。年内に策定する国家防衛戦略(現防衛計画の大綱)などに盛り込む。政府はBMDだけでミサイルを防げないとして反撃能力を検討しており、計画との関係を問われそうだ」(2022/12/05共同通信)
BMD(Ballistic Missile Defense)配備の重点は、沖縄県や南九州地方に加えて、首都圏周辺の村や町の自衛隊駐屯地だという。なんだか強い味方がロケット持ってやって来てくれたような心強さの一方で物々しい戦争兵器は、あの戦争中、街はずれの陸軍○○連隊の庭にあった高射砲を思い出して、またあの時代がやってくるのかと背筋が寒くなるのではあるが・・・。
そもそも大金の必要な陸上イージスシステムという守り神(弾丸ロケットを含めて総額1兆円ともいう)2神を山口県と秋田県に配備して、これが有れば「敵」が打ってくるへっぽこミサイルなど百発百中打ち落とせると、安倍さんは即決即断トランプさんの売り口上を真に受けて買ってきた。やれこれで一安心と思いきや、撃ったロケット弾の抜け殻が基地周辺に落ちてきて危険だから山口も秋田も止めにして一回りも二回りも大きなイージス艦を新増設してこれに載せ、「陸上イージス」は「海上イージス」に化けてしまうという。それでも、イージスシステムは日本国土の守り神であることが間違いないと聞かされていたのだが、どうもそうではないらしい。
イージスの機能であるミサイル防衛とは、飛んでくるロケットを打ち落とすスナイパーだが、近頃のミサイルはニュートンの法則に従順に従ってロフテッド軌道で飛翔するモノばかりではなくて、自分で巡航運転をしたり、むやみやたらとスピードの高いミサイルであったりと、カズ打ちゃ当たる式の迎撃ロケットでは打ち漏らすので、「敵」が打つ前に地下倉から首を出したその瞬間に爆破してしまおうというまでになってきた。これは「専守防衛」じゃなくて「先手必勝」の策である。これってどうみても、盾から矛への変更であって、筆者には日本国憲法第九条に全く違背した軍拡政策に見えるのだが、広島生まれの純潔平和主義者の岸田内閣は平気のようだ。
だが、この新聞記事を中国の習さんや北朝鮮の金さんが読んだら、土中や海中など見えない所で移動できる方式にして、逆に上の新聞の報ずる国内基地にミサイルを撃ち込んでくるに違いない。戦後77年にして、またまた軍事大国ニッポンが再登場するらしい。「忘却とは忘れ去ることなり?」だ。
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