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2022-12-10 00:00
ロシアとウクライナの戦争、冬本番迎え、来春まで様子見か
飯島 一孝
ジャーナリスト
ロシア軍がウクライナへ侵攻してから10カ月目に入り、本格的な冬の到来を迎えている。このため戦闘自体は減ってきているが、両国とも来春を目指して戦略を練っているとされる。一方、ロシアと米国など西側諸国は表向き、対話を求めているが、ともに機が熟していないとして来春まで様子見の状態が続きそうだ。
本格的な冬を迎えるにあたり、ウクライナは停電が深刻な状態だ。ウクライナ当局は首都キーウなどの都市がロシア軍の巡航ミサイルの攻撃を受け、各地で電力インフラが破壊されたとしている。ゼレンスキー大統領はオンラインを通じた演説で、「インフラへの攻撃はエネルギーテロだ」とロシアを批判した。こうしたロシアの攻撃に対し、米国のミリー統合参謀本部議長は「双方とも完全な軍事的勝利を達成するのは困難だ。他の手段を検討しなければならない」と発言。「冬の間に和平交渉に向けた機会をつかむべきだ」と訴えている。この背後で、米国とロシアの高官による接触も密かに行われているという。
だが、肝心のロシア側が和平交渉に真剣に向き合うかについては米国、ウクライナとも疑問視している。ロシアのプーチン大統領は政権の威信をかけてウクライナに侵攻しており、侵攻後に合併したウクライナ4州まで奪われるとすれば、犠牲を払って侵攻した意味がなくなるからだ。プーチン大統領とすれば、このままウクライナに軍事的に押し返されていけば国内の批判が高まり、大統領の地位から引きずり降ろされかねない。そのため、プーチン政権はやみくもにウクライナを攻撃し、国民の反戦気分を高めようとしているように見える。
ロシアやウクライナの冬は厳しく、野外の戦闘はままならない。両者とも春を待って本格的な戦闘に突入することになろう。だが、すでにウクライナ側の戦死者は最大で1万3000人に上っているという。一方、ロシア側の死者、行方不明者、重症者などを加えると、9万人を超えるという報道もある。速やかに停戦を実現しないと、大変な犠牲者を生むことになる。
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