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2022-10-01 00:00
(連載2)暴走列車プーチン号は誰が止められるのか
岡本 裕明
海外事業経営者
「住民投票」については西側諸国から厳しい糾弾が続いていますが、プーチン大統領はそれを完全に無視しています。東部4州の「住民投票」の結果を受けて、29日、2月に独立承認済みの2州に加えて、ヘルソンとザポロジエについて独立を認める大統領令にプーチン氏が署名したという報道がありました。この数日中に、クリミア半島で行ったのと同じように法的に東部4州をロシア領とするでしょう。プーチン氏ほど支配下における選挙のコントロールに長けた人はいません。それにウクライナ東部は「新ロシア」と呼ばれるほどロシア人や親ロシア派が多く、逆に親ウクライナ派は西部に避難している人も多いはずです。一方、プーチン氏は親ロシア派でロシアに逃げた人にはロシア国内で投票させる仕組みを取り入れました。
予備役兵30万人の投入は長く伸びるウクライナ戦線においてロシアの引く新たな境界線を守らせるのが主務だとみています。攻撃というより防衛ライン確保ではないでしょうか。仮にそこで一進一退の攻防になればどこかで休戦協定となるかもしれませんが、東部ウクライナはロシアの意図したとおり、実効支配と相成る気がします。
この支配手段は「住民を盾に取る」のではなく、「住民が盾になる」点で西側諸国もやりにくいと思います。このやり方が仮にまかり通るなら世の中の国境はあちらこちらで崩れてしまいます。例えば、竹島や北方領土には韓国人やロシア人が常駐/居住しているので日本は手を出しようがない状態にあります。仮に尖閣に中国人が上陸し住んでしまえば中国は自国民保護を理由に好き勝手し放題が出来ます。その点では沖縄県は島が多いこともあり、要注意で中国にしてみればその気になればいつでもできるだろうと思います。
暴走列車プーチン号を止められるのは誰でしょうか。私は習近平氏に期待をしましたが、共産党大会を控えた今、沈黙状態です。モディ氏は持ちつ持たれつの関係を維持するために強くは出ません。西側諸国の国家元首の話にプーチン大統領は聞く耳を持ちません。一番効果があるのは国内の反乱です。今回の徴兵でロシアからの脱出を図る人が続出していると報じられていますが、今時分、「赤紙」はいくら兵役義務をこなした人でも現実的ではありません。ベトナム戦争時、アメリカでは国内から厳しい反戦運動が起きました。そのようなロシア内部から動き、そして軍部すら取り締まりできないような国民機運がプーチン列車を止められる唯一の方法かもしれません。プーチン氏が仮に核のボタンに手をかければそれは国内世論がプーチン氏を取り囲むしかありません。この争いはあと2-3年続くという論評もありますが、プーチン氏のメンタルがそこまで持つのか、私には想像できません。(おわり)
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