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2022-09-27 00:00
(連載1)岸田政権はなぜ為替介入をしたのか
倉西 雅子
政治学者
9月22日、日本政府は、一向に歯止めがかからない円安傾向を止めるために、外国為替市場において24年ぶりに円買いドル売り介入を実施しました。円安が物価高の一因となっているだけに支持する声も聞かれます。しかしながら、この介入、手放しに歓迎できるのかと申しますと、いささか慎重に見る必要があるように思えます。
政府は、今般の市場介入の理由について投機による急激な円安に対抗するため、と述べています。この説明に従えば、現在の円安は、投機筋による積極的な円売りドル買いに主要な原因があることとなります。その一方で、円安傾向が止まらない理由は、日米間の金利差にあるとする有力な指摘があります。アメリカのFRBは、物価上昇を抑えるという名目でゼロ金利政策から脱却し、相次いで利上げを実施しています。日本政府の介入も、FRBが075%のさらなる利上げを発表した直後であり、このタイミングもこの説を裏付けているようにも思えます。3ヶ月の間で3%以上となるFRBの利上げは、そのまま日米金利差の拡大となりますので、円安の加速化と軌を一にしているのです。
日米金利差によるマネーの流れ、即ち、円を売ってドルで運用して3%以上の利ざやを得る戦略は、必ずしも投機家に限ったことではなく、一般の金融機関でも行なわれています。金利差主因説が正しければ、円安の是正には、むしろ日銀による利上げの方が効果的であるかもしれません。日米金利差が開くほどに、円売りが加速されて円の相場が下落してしまうからです。
このことは、日米金利差が長期化する場合、日本政府による介入効果は一時的なものに過ぎず、長期的な流れを変えることはできないことを意味します。言い換えますと、日本政府は、円安介入を繰り返すたびに積み上げてきた外貨準備を吐き出さなければならず、仮に、米ドル外貨が枯渇するまで継続するならば、より緩慢ではあれ、1992年のポンド危機と同様の事態に直面するリスクもありましょう。かの悪名高きジョージ・ソロス氏であれば、このチャンスの到来を虎視眈々と狙っているようにも思えます。ポンド危機から30年を経た今日にあって円危機が起きれば、今度は、イングランド銀行ならぬ「日本銀行を潰した男」と呼ばれるかもしれません。(つづく)
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