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2022-09-01 00:00
(連載2)火器管制レーダー照射の「指針」の背景
宇田川 敬介
作家・ジャーナリスト
しかし、「指針は2019年2月につくられた。「日(本)哨戒機対応指針」として、公海上で接近してきた自衛隊機に対し、通信などによる2回の警告に応じずに近距離飛行を保った場合は、標的との距離や高度などを測る「追跡レーダー」(火器管制レーダー)を照射して対抗するよう規定した」(2022年8月18日、朝日新聞デジタル)とあるように、日本もアメリカも、火器管制レーダーの照射事件において韓国軍内部で指針があって起きたとの韓国国内メディアの報道を受けて、「まさか国家の判断とは思っていなかった」ということになったのである。
韓国領海内であれば、この対応もまだ理解できるが、日本海のど真ん中、能登半島沖であり、どの国の船も飛行機も通行が認められている海域で、このようなことをするということ自体が、かなりおかしい。「自衛隊機だけが対象で、ロシア機や中国機に対象を限定した指針はないという」(同上)ことからも、韓国は日本に対してロシアや中国よりも「敵国」扱いしていたということになる。裏を返せば、ロシアや中国に関しては敵対的ではないともいえよう。韓国は、まあ、「日本は威嚇だけで攻撃されることはない」と高を括っているということであり、ずいぶんと舐められたものである。
このケースが発生した背景として、指針から「日本はおとなしい」という認識だけでなく、「ロシアや中国のほうが友好国としてふさわしい」という文在寅政権の明確な意志を、韓国海軍の現場が読み取れただろうことは非常に興味深い。つまり、今回明らかになった指針が意味することは、文在寅大統領には、「全体主義国家側に与しており、日本という同じ東アジアの民主主義国との友好関係については著しく劣後する価値しか見出していない」、もっといえば「権威主義陣営に自国の片足を突っ込ませる」というような危うい思想が隠れているのではないかと思わせるほどの重大な事実であったということだ。
この指針を背景として韓国海軍が引き起こした火器管制レーダー照射事件は、日韓関係に深刻な影響を及ぼし、そのうえ頼みの中国に袖にされたということが韓国政府の大きな傷となって、文在寅政権は手を打てなくなったのは身から出た錆といえよう。しかしその当時も韓国は「安保はアメリカ、経済は中国」などと平気で言っていた。そのような韓国特有の世界観から生まれるその依存的な体質が、米中双方から信用を損ね、本来重要な隣国である日本との関係をも破壊したのではないか。(おわり)
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