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2022-08-25 00:00
(連載2)台湾海峡情勢
鈴木 馨祐
衆議院議員
そもそも、「台湾侵略」に関しても、①全面的な台湾本島侵略、②限定的な台湾海峡離島侵略、③南シナ海離島侵略、④台湾封鎖、⑤武力行使を伴わないハイブリッド戦等々、様々なシナリオ・可能性があり、中国にとってのそれぞれのリスク分析も当然異なってきます。今後、台湾はもちろん、日本、アメリカ、オーストラリア、フィリピン、英国、欧州等の関係国の間で、これらの点に関する分析と行動を共有していくことが極めて重要です。
7月下旬に台湾に、そして先週アメリカに出張し、それぞれ政府高官や関係者との意見交換を重ね、またその間に岸田総理とも台湾に関し話をさせていただきました。本稿で機微な話に触れることは当然できませんが、私の受けた感触で言えば、台湾国内の一体感、日米をはじめとする関係国の一体感は極めて固く、中国が台湾を侵略すれば、ロシアがウクライナを侵略した以上の困難に直面することは明白です。台湾の戦略的意味合いは、日本にとっても、アメリカにとっても、極めて大きい。
先般のペロシ米国下院議長の台湾訪問においても、米国中国双方の腹の探り合いがされたわけですが、今後、習近平主席が3期目を目指す10月の第20回中国共産党大会に向けて、そして、その後も習近平主席が3期目の正統性や基盤の万全を期しながら4期目以降を考えていく可能性を踏まえれば緊張感がどんどんと高まる可能性が高く、習近平体制が続く限り、常にこうした探り合いがされていくこととなります。そしてどこかのポイントで、中国が台湾侵略のリスクが得られるメリットよりも低いとの判断を下せば、一気に軍事行動に出ることが予想されます。
その際、在日米軍及び自衛隊は当然のこととして台湾防衛に動く。今後の政治の一つの焦点は、中国の様々な侵略パターンに応じた対応を即時に行えるような法整備、自衛隊のハード・ソフト面の整備、米軍・台湾軍その他可能性がある軍との実態的な連携強化、国民の理解の醸成、等の各点について早急に課題解決に動くことに他なりません。中国の動機、能力については、先方の事情であって我々がどうこうできる余地はほとんどありません。日米台で変えられる変数を変えることに全力を尽くすことで、中国にとっての台湾侵略のリスク・コストを高め、彼らの「計算」や「意思」に影響を与えることこそが、我々が全力を尽くして進めるべき喫緊のアジェンダです。(おわり)
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