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2022-08-23 00:00
(連載2)核の脅威に直面する非核保有国とNPT
倉西 雅子
政治学者
NPTの条文を丁寧に読みますと、戦時あるいは戦争リスクが強く認識される状況下においては、何れの締約国も核兵器の保有が国際法において許されているとしか解釈のしようがありません。この点のみを考慮しますと、ロシアによる軍事介入に直面しながら核保有という選択を怠ったウクライナの行動の方が、余程、不可思議なのです。あたかも、戦時にあってもNPTは厳格に遵守しなければならず、核兵器は保有できない、という条約上の拘束があるかのようにウクライナは振る舞っているのです。
同国がNPTからの脱退する正当な権利がありながらこれを行使しなかった理由としては、三次元戦争の視点から推理しますと、あえてNPT体制を維持するために同オプションを無視したともいえるほどです。安保理理事国にして軍事大国でもある五カ国とその特殊な関係性の中にあるイスラエルや北朝鮮といった一部の国のみで核を寡占した方が好都合なのでしょう。ウクライナの非合理的な対応は、ウクライナ危機もまた、大国間の大きなゲームの一要素にすぎない可能性を示唆しているのです。
そして、台湾危機が中国による攻撃の可能性を高めている今日、日本国もまた、現状を‘この条約の対象である事項に関連する異常な事態が自国の至高の利益を危うくしている’として、NPT第10条に基づいて同条約から脱退することができるはずです。なお、NPTでは、3ヶ月前の通告を義務づけていますが、他国による攻撃が差し迫るなどリスクが高い場合には、正当防衛権の行使として事後的であれICJ等に対して脱退の合法性を主張できるはずとも考えます。
中国の脅威に対抗するために、NPT再検討会議における議論の如何に拘わらず、日本国政府は、早急にNPTからの脱退に舵を切り替えるべきなのではないでしょうか。相変わらず、日本国がまた核保有に二の足を踏むならば、台湾危機で「想定しないシナリオ」によってウクライナと同じ悲劇に見舞われることとなるのではないかと思うのです。(おわり)
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