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2022-08-04 00:00
(連載2)ウクライナ復興資金、提供への課題
倉西 雅子
政治学者
投資家の関心も集めており、世界最大の機関投資家であるGPIF(日本年金機構)も保有の方向に動くかもしれません(その一方で、GPIFは、2200億円ほどのロシア関連の債権を保有していたものの、対ロ制裁に従って評価をゼロに…)。EUレベルでも、ウクライナの復興を支援するための共同債の発行を検討しているとも報じられており、同案が実現すれば、ウクライナへの復興資金の提供がEU加盟に先立つこととなりましょう。
急ぎ全世界から復興資金を調達しても、東部がロシアの勢力範囲に組み入れられた状態では、これらの資金の多くは宙に浮いてしまいます。双方の攻撃によって凄まじい破壊が行われ、戦場となったのは主として東部地域なのですから。報道によりますと、現在の東部の戦況はロシア優勢ということですので、ウクライナによる東部地域の奪還は困難な状況にあり、復興事業開始の目途は全く立っていないのです。
もっとも、ロシア軍は緒戦で首都キーウ(キエフ)まで侵攻していますので、戦闘が始まった2月25日からロシア軍が撤退する4月3日までの凡そ一か月間の間、ウクライナ側に被害が発生しています。この間、全世界を震撼させたブチャにおける民間人虐殺事件が起きたとされておりますので、まずは、調達資金をキーフ(キエフ)周辺地域における被害の復興に充てるのかもしれません。もっとも、キエフ周辺の復興に資金を要するとしても、おそらく概算されている100兆円には届かないことでしょう。
以上に、ウクライナ復刻資金に関する素朴な疑問を投げかけてみましたが、ウクライナ復興資金の調達事業には、やはり慎重であるべきなのかもしれません。同国の債務危機を考慮しますと、調達資金は債務返済に充てられるかもしれませんし、戦闘状態が長引けば、事実上の’軍資金’の提供となりかねないからです。ウクライナ危機にはまだまだ不透明感が漂っていますし、その背後には闇が潜んでいる可能性もあります。仮に復興資金を提供するならば、厳正な外部モニタリングの仕組みを要求する必要がありますし、日本国政府も、より中立的で客観的な視点からの分析に努めるべきではないかと思うのです。(おわり)
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