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2022-08-01 00:00
(連載1)アメリカは景気後退か
岡本 裕明
海外事業経営者
アメリカの4-6月度のGDPが発表になり、事前予想のプラス0.4%には程遠いマイナス0.9%と2期連続のマイナスとなりました。2四半期連続のマイナスはテクニカルリセッションとされますが、どうも高官はこれを認めたくないようです。アメリカならではの強引さも見て取れます。今回のマイナスは一部では事前にそのような予想もありましたので驚愕という感じでありません。一方、パウエル議長は7月28日のFOMCの後の記者会見で「明日のGDPは第一次集計の数字だし…」と、どんな数字が出ても後で修正があるのだから鬼が出ようが、蛇が出ようが驚かないというそぶりを見せました。イエレン財務長官も今週初めに「雇用創出ペースがやや減速する可能性が高いが、それはリセッションではないだろう。リセッションとは経済が広い範囲で弱くなることだ。現在のところ、そうした状況は目にしていない」(ブルームバーグ)と述べています。つまり統計上の結果では「R」マークが点灯するもそれは正しくないと火消しに躍起というところに見えます。
お前はどう思うのか、と言われれば何か経済に特段影響する異変や特異なことが起きない前提ならば景気の高度はブレながらも、引き続き下げトレンドになる可能性がありますが、ドスンとは落ちない、つまり、明白な方向性が出ない踏ん切りの悪い状態に陥ることもあり得るとみています。非常に大きなピクチャーで考えるとアメリカは今日、日本が抱えるような国力の弱体化サイクルの可能性の検証も必要かもしれません。
目先の経済は数日前に述べたように資源食糧価格の高騰、国際輸送のコストと人材不足、及び労働力の3つのエレメントのうち、労働力に於いて労働生産性が下がり、雇用のミスマッチが起きていることが最大のネックだとみています。国際輸送に関してはここにきて驚くほど改善しており、北米線は私の会社の荷物だけ見ても3か月かかっていたものが2か月以内に収まりつつあり、もう一息で通常ペースという感じになります。物量が減っていることは明らかで、これを消費が落ちているとみるのか、昨年末から年初にかけてコロナ回復後の消費を当て込んだ仕入れ量が多すぎたための調整に入っているかのどちらか、とみています。
資源価格については読みにくいのですが今回は8月初旬に開催されるOPEC+の行方ががぜん注目されます。バイデン氏がわざわざサウジアラビアで増産をお願いし、明白な返事は得られていないもののバイデン氏は感触を感じ取って帰国しています。期待通り、計画より多い増産になれば更なる原油価格の下落が期待でき、現在の90㌦台半ばが80㌦台に落ちることもあり得ます。(つづく)
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