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2022-07-28 00:00
(連載2)中国の経済停滞は懸念事項ではない
中村 仁
元全国紙記者
それが日経の記事では、「急速な少子高齢化で経済の好循環(人口増による経済成長)は幕を下ろそうとしている。その象徴が中国だ。14億人という世界最大の市場はグローバル経済の需要を生み出してきた。今後、経済を押し上げる力は弱まる」と、将来を悲観しているのです。
読売新聞も「中国が人口減に危機感」(7/18)の見出しで「中国の国力衰退に直結しかねない。生産は消費を支える若い世代が減れば、経済成長の鈍化は避けられない」と、日経と同じような感覚です。「中国政府にとっては危機であっても、世界や日本にとっては歓迎すべき転換期である」と、書いてほしいのです。経済記事ではなく、政治経済学的な視点が必要です。 読売は社説「中国経済失速」で、「中国は『世界の工場』と呼ばれ、国際的なサプライチェーン(供給網)の中核として成長を遂げてきた。上海には部品産業が集積し、日本にとっても重要性が高い」と、懸念をあらわにしています。中国が『世界の工場』になってしまったから、国際社会での振る舞いは横暴を極めたということから目をそむけています。軍事力も強い経済があってこそでした。ロシアと違い、何かあっても経済制裁は困難という見方が多かった。中国が転換期を迎えることは、むしろ評価、歓迎すべきことなのです。
朝日新聞は、1面3段で「大幅な経済減速」、2面の「時時刻刻」で大扱いし、「ウクライナ危機に伴うインフレに苦しむ世界経済に追い打ちとなる」、「中国の不可解なゼロコロナ戦略(都市封鎖)が世界貿易をマヒさせている」です。 コロナ感染拡大はグロバリゼーションの行き過ぎのリスクに警鐘を鳴らし、さらにロシアのウクライナ侵略に伴う経済制裁で世界市場が分断されました。ポスト・グローバリゼーションのあり方を考えるべきなのです。
中国嫌いの産経新聞なら、そのあたりを指摘するのかと思っていましたら、「経済失速」は2面の下段に目立たない扱いでした。「中国依存からの脱却」、「ポスト・グローバリゼーションからの転換」、「世界人口80億人に悲鳴を上げる地球環境」を念頭に、持続可能な経済社会とは何かを考える。日本の経済記事には、こうした政治経済社会学的な視点が欠落しているように思います。(おわり)
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